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なんで好きなの?

by 唐草 [2023/02/04]



 「酸素は好きですか?」
 と聞かれたらなんと答えますか?
 躊躇せずYes/Noで回答できるのは科学者ぐらい。多くの人は質問者に向かって「何いってんだコイツ?」と怪訝な顔をするだろう。
 人間は1回の呼吸で約500mlの空気を吸い込み、呼吸のペースは1分間に15回程度。計算すると24時間で72,000lもの空気を吸っている。大気中の酸素の割合は約20%なので、1日に14,400lもの酸素を肺に取り込んでいる。
 こんなにも大量の酸素に触れて生きているのに、そしてもっと言えば酸素がなければ生きていけないのに酸素が好きか嫌いか即答できないのはどういうことなんだ?
 ここまで読んで「なにいってんだコイツ?」と思ったことだろう。ぼく自身も何言ってんだと思いながら書いている。
 ただ、重要なのはここから。似た質問をしたい。
 「猫は好きですか?」
 賛否両論あると思うけれど多くの人がYesなりNoなりの自分の答を示せるだろう。ぼくは間違いなくYesと答えるんだけれども、「なぜYesなの?」と聞かれると答に窮すると思う。
 ぼくは生まれてこの方、ほぼすべての瞬間を猫と共に過ごしてきた。なので、身近すぎて猫が見えていない。それは普段空気を意識しないのと同じ。だから猫の何が好きなのか分かっていない。
 1つ言えるのは、猫がいなければ死ぬであろうということ。それは酸素が吸えないのと同じで、ぼくにとって必要な何かを摂取できなくなって枯れ果て萎むだろう。
 猫の何が好きなんだ?この問いは、ぼくにとって冒頭の問いと同じく難しい。
 所構わずゲロを吐くし、欲求を実現するまで騒ぎ続けるし、爪が立つものは何でも壊すし、高いところに置いたものは片っ端から落としていく。今も膝の上を巡って猫と攻防を繰り広げている。普段の所業を列挙すると害獣でしかない。でも好き。
 先日、BSで『世界ネコ歩き』を見ているときに、ようやく自分が猫の何が好きなのかを理解することができた。
 ぼくは猫が遊んでいる姿が好きなんだ。本当にそれだけ。
 そりゃそうか、猫に遊んでもらって育ったんだから。