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2070の昔ながら

by 唐草 [2023/02/15]



 東洋水産(マルちゃん)の『昔ながらの中華そば』というインスタントラーメンを食べた。ちょっと濃い鶏ダシ醤油味のスープとインスタントにしてはかなり細い麺が印象に残るラーメンだった。
 小ジャレた感じも過剰なコッテリさもない。ネットだと「こういうのでいいんだよ」と評されるようなスタンダードで何の変哲もないラーメン。確かに昔からありそうな雰囲気。ラーメン専門店ではなく街の中華料理屋で出てきそう。そう、味玉やチャーシューよりもナルトが似合いそうなラーメンだ。
 食べれば確かに製品名の「昔ながら」という言葉に納得できる。
 でも、ここで言う昔っていつなのよ?古そうだという印象はあるが、それがいつなのか全然わからない。
 30年ぐらい前のラーメンだろうか?平成初期にどんなラーメンが流行っていたかは知らないが、幼い頃に外で食べたラーメンはもう少しコッテリしていたような気がする。
 だったらもっと前のラーメンなのだろうか?50年ぐらい前のラーメンなのだろうか?「ラーメン」ではなく「中華そば」と名乗っているので、それこそ終戦直後ぐらいをイメージしているのだろうか?食べるだけではいつなのかさっぱりわからない。
 もしかしたら昔っぽい雰囲気があるだけで、このインスタントラーメンのような鶏ダシ醤油スープで細麺のラーメンが主流だったなんて時代なんて存在しないかもしれない。多くの人が思い描く空想上の昭和をテーマにしたラーメンだったとしても驚きはない。もしそうだとすれば、このラーメンはファンタジー昭和ラーメンと呼べる。
 さて、ここで逆のことを考えてみたい。
 今から50年後にどこかの食品メーカーが令和の今をイメージした「昔ながらのラーメン2020」を発売するとしよう。その未来のラーメンはどんなものになるのだろう?架空の昔をイメージした実在しないシンプルなものになるのだろうか?それとも現代を忠実に再現して二郎系のようなコッテリ系になるのだろうか?
 今でもジャンク飯のような扱いを受けている油とニンニクマシマシなラーメンがノスタルジーの対象となる未来はイヤだ。まだファンタジー昭和の方が良い。