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塗装業界の慣習

by 唐草 [2023/02/22]



 約2週間におよぶ自宅の外装リフォーム工事が完了した。ほぼ同じ色の屋根材と外壁塗装を施したので遠目には変化がないように見える。でも、近づいて見ればひび割れも、日陰にうっすら生えていた苔もない。なにより高圧洗浄だけでは絶対になしえない輝きがある。ツルツルでピカピカな外装は、築三十余年のくたびれたさまを完全に消し去っている。
 外装塗り替えには、BeforeとAfterの劇的な変化なんていらない。時計の針を戻すように家屋の色艶が若返れば十分。壁の色を近隣住民がびっくりするような鮮やかなオレンジ色に塗り替えるなんて言語道断だ。
 今回のように家のすべての外装を一度に修繕したのは十数年ぶり。ここまで大規模な塗り替えは久々だったが、細々した塗替えは数年おきに経験していた。工事規模の大小に関わらずいずれの工事も作業が終了するたびに塗装業界の慣習に触れることになる。その慣習は、毎回ぼくを悩ませる。
 おそらくどんな業界にも慣習はある。ぼくは広く業界のことは知らないが、ネットワーク界隈だと見積書を横向きに印刷するという慣習がある。おそらくこれは機器名が長いことに端を発していると思う。こういう慣習は業界内での合理性を追求して生まれたものだろう。だが、業界の外にいる者には謎の文化にしか見えない。ガラパゴスな慣習・慣例と言っていい。
 ぼくを悩ます塗装業界の慣習は、工事終了後に補修用としてペットボトル1本分のペンキを分けてくれること。今回も「ちょっとした傷ならこのペンキで塗り直せます」、「水性ペンキなんで100均の筆で簡単に塗れます」とこともなげにペンキで満ちたペットボトルを手渡された。
 ペンキを塗り直す機会なんてそうそうあるものではない。そんなことがあったとしても道具を揃えるところから始めなくてはならないので、素人にはハードルが高い。
 この慣習は、アフターケアの親切心なのだろうか?それとも余ったペンキの体の良い処分方法なのだろうか?門外漢にこの答は分からない。
 1つ言えるのは、いまだかつて分けてもらったペンキを活用したことなんて一度もないってことだけ。きっと今回もそうなる。