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心も包むプチプチ

by 唐草 [2023/01/25]



 「やばい寒波がやって来る」
 数日前から天気予報がしきりにそう訴えかけていた。
 そんな強い言葉の天気予報を耳にしてもぼくは半信半疑だった。数年前から気象庁は減災を重視するようになっている。そのため、やや大げさに予報を伝える傾向が強くなったように感じているからだ。
 きっと今回の寒波も「最強」とは名ばかりに終わるのだろうと高をくくっていた。
 そんなぼくが今回の寒気団がオオカミ少年的な騒ぎではないと気づいたのは、昨日の午前中。大陸からの寒気は本州全土を覆うほどに張り出してきたし、北海道の東沖には台風並みの低気圧が出現した。空模様は天気予報どおりに悪い方へと変化して、天気図は理科の教科書に載せてもいいぐらい見事な西高東低の冬型を描いていた。
 どれだけ楽観論を並べてもこの状況を覆せそうにない。このまま手をこまねいていたら寒さに震えて大変なことになる。寒さに備えるためになにか行動を起こさねば!
 しかし、天気予報を信じずにいたぼくにいったい何ができるというのか?着込む以外にもなにか対策を施したいが、なにも思いつかない。
 天気予報を疑っていた自分を呪いながらあれこれ考えていた。すると昨年末の片付けの際に大量の梱包用プチプチが見つかったことを思い出した。これは天からの恵みだ。これがあれば、窓ガラスの防寒性能を上げられる。
 さっそく家の窓という窓にプチプチを貼り付けていった。突貫工事なので見た目なんて気にしない。養生テープで貼り付けていくだけだ。
 1時間ほどで窓ガラスはすべてプチプチで覆われた。なんだか割れ物注意な荷物の中で暮らしているようだ。
 そして、極寒の朝を迎えた。
 ズッポリとくるまっていた布団から顔を出すだけで寒さのレベルがいつもと違うことが分かる。家の中なのに鼻先が切れそうなほど寒い。冬の朝に自転車に乗っているときのようだ。
 でも、ぼくには分かる。これでもプチプチのおかげでだいぶマシになっているんだと。温度計を見なくても分かる。むしろ、昨日の自分を労うためにも温度計を見てはいけない。心が暖かければ十分なのだ。