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偶然のR.I.P

by 唐草 [2023/02/26]



 一般に「引き裂く」的な意味の”Rip”という英単語。音楽CDから中身をPCにコピーすることを”Ripping”と呼んでいた。ぼくは”Ripping”で”Rip”という単語を知った。とは言え、CDから音楽を取り込むなんてのはもはや前時代的。”Ripping”という言葉からぼくが慣れ親しみ、そしてワクワクした意味は消えていくのだろう。
 古臭い思い出話をしたのは”Rip”という単語を改めて調べたから。あるキャラクターの名前が”Rip”だったので、ぼくの知らない意味や人物がいるのではと気になった。
 辞書を引いても、ネットを検索しても”Rip”にぼくの知らない意味はなかった。伝説や小説などの有名人をひとり挙げるのなら”Jack the Ripper”だろうか。文字通りの「切り裂き魔」だ。
 単語の”Rip”は切り裂くという意味だが、略語の”R.I.P”だとぜんぜん違う意味になる。伝統的に墓石に刻まれる言葉で、日本語に訳すなら「安らかに眠れ」となる。
 伝統的な言葉だったが最近ではスラングになっている。SNSで打つのが面倒なピリオドを抜いてカジュアルに使われる”RIP”を見かけることも多い。スラングを日本語に訳すなら「オワタ」とか「無事死亡」、「悲報」あたりが近い。
 ちなみに”R.I.P”は英語の”Rest In Peace”の略と思われがちだが、これは間違いらしい。正確にはラテン語の”Requiescat In Pace”の略だそうだ。これはラテン語で「平和の中の休息」という死者を弔う言葉で、英訳すると”Rest In Peace”になる。
 ぼくが読んだサイトには「ラテン語を英訳しても偶然同じになる面白い言葉」的なことが書いてあった。それを読んだときは素直に面白い偶然もあるものだと頷いた。
 でも、よく考えれば驚くほどの偶然ではない。英語は少なからずラテン語の影響を受けた言葉。多くの英単語がラテン語の単語に似ている。その関係は、日本語と中国語のようなものだろう。
 そう思うとよっぽど”Road”と「道路」が似ているほうが驚くべき偶然の一致。