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踊る金侍

by 唐草 [2023/05/13]



 昨日、Yahoo!ニュースで「マツケンサンバコラボカフェオープン」という金色に輝いていそうな見出しを見つけた。コラボカフェに興味はないのに見出しの魅力に抗えずクリックしてしまった。
 読み流すつもりだったが、その記事はぼくの予想とはまったく異なる形で驚きと笑いを提供してくれた。
 昨今コラボカフェが流行っているとは言え、マツケンサンバのコラボカフェは、かなり攻めた企画だ。企画した人の正気を疑いたくなるぐらいにイカれている。だが、それ以上に驚いたことがあった。
 記事には「マツケンサンバII」のリリースは2004年と書かれていた。つまり、今年で20周年を迎える。そんな昔から存在していたなんて考えてもみなかった。もう少し新しい曲だと思っていた。でも、いつ知ったのかと問われてもさっぱり見当がつかない。ちゃんと見聞きしたことなんて一度もないのに、まるではじめから知っていたかのように記憶にこびりついている。恐ろしい曲だ。
 記事を読んだ勢いのままコメント欄にも目を向けた。多くの賛同を得ていた1つのコメントを読んで、感心すると同時に涙を流すほど笑ってしまった。
 そのコメントは「音楽関係者が『サンバと題しているがサンバでないし、そんな曲を金色の侍が踊りながら歌えるのは日本の音楽界だけ』と褒めていた」というようなもの。
 このコメントを読んでハッとした。
 何度かマツケンサンバの映像を見たことがあるが、金色のスパンコース着物を着た松平健のことを侍だと考えたことが一度もなかったという事実に気付かされたのだ。
 外国人が見たら衣装と髪型から侍だと見做すだろう。だが、ぼくにはそうは思えない。あれは侍でなく上様という別次元の存在として目に映っていた。
 冷静に考えればタイトルとは異なるジャンルの音楽とともに自分の名前を連呼しながら踊り狂う金色の侍以外の何物でもない。考えれば考えるほどカオスな状況だ。その意味不明さに気づいて腹を抱えて笑っていた。
 同時に20年間ブレずにキャラを突き通している松平健のエンターテナー魂に心が揺さぶられた。ぼくの流した笑いの涙には、少し別の気持ちが混じっていた。