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その腕に明日を

by 唐草 [2023/05/11]



 多くの人は自分のPCやスマホのCPUのことなんて気にしない。そんなのを気にするのは、「13世代が~」とか「3D Cacheが~」とか理解しがたいことを口にするPCオタクぐらい。
 オタク連中が気にしているのは、もっぱら製品の型番。より新しく、より上のグレードの製品を聖遺物のように崇めている。その界隈ではIntel派とAMD派に分かれて、それぞれが自陣の優位さを示そうと無益な戦いを繰り返す。新製品の発表があるたびに一喜一憂する姿は滑稽さすらある。
 しかし、彼らはスマホCPUとPC CPUを比べはしない。スマホ向けのARM系CPUとPC向けx64系CPUは、使われるハードも違えば互換性もないからだ。それは、CPUの設計思想がまったくの別物だということに起因している。
 PC向けCPUの比較は、醤油ラーメンと塩ラーメンのどちらが美味しいかという同じ土俵での比較と言える。だが、スマホ向けCPUとPC向けCPUの比較は、ラーメンとカレーのどちらが美味しいかという前提の異なる論争に似ている。
 スマートフォンが登場して10年以上。両者の差は次第に小さくなってきている。それでも、長らくスマホ向けとPC向けのCPUは、求められる性能の違いから異なる構造を採用していた。
 ところが、この勢力図が塗り替えられる日が近いかもしれない。
 Appleは、iPhoneにARMベースの自社CPUを積んできた。最近ではMacにもそのCPUを積んでいる。今のMacはスマホCPUで動いているとも言える。
 また、AmazonやMicrosoftのクラウドサーバも従来のx64系CPUからARM系CPUへの置き換えが進んでいる。日本のスーパーコンピュータの富岳もARM系だったと記憶している。
 気づかぬ内に、もっとも身近なスマホともっとも遠いクラウドの両方がARMになっている。じわじわと広がるARMの勢いを止めることはもう無理だろう。
 40年以上前の設計のCPUを進化させてきたx64系CPU。長年にわたって世界を支配してきたが、いよいよ時代の波に飲まれるときが近づいてきたようだ。この先の展開が楽しみ。