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未来の顔は?

by 唐草 [2023/05/15]



 幼い頃から自動車のフロントが顔に見える。左右の前照灯が目で、中央の吸気グリルが口。人間は点が3つあれば顔と認識すると言われている。きっとそれと同じ理屈だろうし、ぼくと同じく顔に見える人も多いだろう。
 自動車デザインの歴史を振り返ると、年々顔つき、特に目つきが鋭くなっている。そのように進化したのは、工業技術の革新が消費者のニーズを次々と実現した結果。より新しそうで速そうなデザインの追求が、鋭く輝くライトを生み出した。
 いくら目つきが鋭くなっても電球を使っている限り、ライトの形には制限があった。しかし、LEDの登場で状況は一変。ラインストーンのようにLEDが並ぶライトも登場している。もはや目のように大きなライトは必要ない。
 口にあたるグリルもライト同様岐路に立たされている。フロントグリルは、ガソリンエンジンに燃焼と冷却のための空気を送り込む穴についた網。燃焼のない電気自動車に給気口は不必要。当然、そこにつける網も不必要だ。
 機能からデザインを考えると電気自動車のフロントを従来どおり顔のようにデザインする必要はない。
 それでも、テスラなどの電気自動車は従来の自動車デザインを踏襲している。正面から見れば目もあるし口もある。しかし、電気自動車をよく見ると穴のない飾りだけのグリルをフロントに張っていたりする。これはのっぺら坊が、口の描かれたマスクをしているようなもの。
 そうなったのは、従来の自動車像からかけ離れたデザインだと保守的な消費者に避けられると考えての判断だろう。
 この先、自由な発想から生まれる過去に縛られないデザインの自動車が登場するだろう。多くは奇異の目を向けられ消えるだろうが、そういう進化と淘汰を繰り返している内に人間側の自動車に対するイメージが変わっていくはず。
 それは丸目がツリ目に変化したことや、セダンよりもハッチバックが人気になった変化と同じようなもの。
 20年先の電気自動車って、どんなデザインになっているだろう。今見たら奇妙で落ち着かないものに見えるかもしれない。まるで深海魚のように。
 そんなデザインの進化が楽しみだ。