カレンダー

2023/06
    
 
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

ナンバーX

by 唐草 [2023/05/16]



 前を走る車のナンバープレートに違和感を覚えた。白地に緑色の文字と数字が書かれた普通車のナンバープレートなのに何か変。
 まるで事故を起こした車のナンバーを目に焼き付けようとするようにナンバープレートを凝視した。すぐに違和感の正体は明らかとなった。
 排気量などの車両区分を示す3桁の小さな分類番号が「31X」だった。数字だけでなくアルファベットが混じっていることに違和感を覚えていたようだ。
 人気の番号がどんどん発行されていくので分類番号が足りなくなり、番号をかさ増しするためにアルファベットを導入したという話は知っていた。だが、実際に目にするのは初めて。違和感を覚えたのも当然だろう。
 導入されたアルファベットは、A、C、F、H、K、L、M、P、X、Yの10文字。0Aから始まり0Xまで順番に進み、その次は1Aになるようなルールで運用されている。
 つまり、「31X」は新方式で発行された19巡目のナンバープレートになる。
 「31X」ナンバープレートの番号は、一桁の数字だった。その数字は、ナンバープレート人気ランキングで上位の数字。ランキングからも19巡しているのが頷ける。
 データから人気だと分かるが、ぼくにはどうしてもナンバープレートの番号にこだわるという考えが理解できない。抽選に参加してまで人気の番号をゲットしようという情熱がどこから湧き出すのか、これっぽっちも想像できない。たった4桁の数字ではないか。番号で性能が変わるわけでもない。
 それだけでなく、人気の番号の多くが1桁の数字に集中しているのも理解できない。ぼくが理解できるのは、せいぜい「1」ぐらい。トップ5にある「3」と「5」が人気な理由は皆目思いつかない。スポーツ選手の背番号にでもあやかっているのだろうか?
 自分が理解できないからと言って、「ナンバーにこだわるなんてバカみたい」と蔑むつもりはない。きっとぼくの知らない価値観や、相容れることのできない判断基準があるのだろう。別に知りたくもないけれど。
 だから、1桁のナンバープレートがとても奇妙な情熱の塊に見えて少し怖い。「1X」がその恐怖を更に加速させる。