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東京の景色とは

by 唐草 [2015/03/25]



 スマホ向けシムシティーの広告を見て考えさせられることがあった。なんでも東京モードが追加されたらしい。で、その画像を見たら街の雰囲気がどことなく新宿のようだった。
 この新宿らしさはどこから来るのか?考えるまでも無く分かる。
 新宿らしさの正体は、ビルに設置された色とりどり電飾で飾り付けられた看板だ。実際の新宿も飲み屋やらパチンコ屋の看板が乱立している。好き勝手に乱立して、その中で埋没しないように自己主張を重ねた看板の数々。これが、新宿の街を眺めればイヤでも目に飛び込んでくる景色だ。
 正直、統一感もなく無秩序な色の洪水というネガティブな印象しかない。景観を売りにしている街と比べたら目も当てられないようなひどい有り様だ。歴史あるヨーロッパの石造りの街の景色と比べたら、ゴミ溜のようにすら見える。同じ日本でも京都のように厳しい景観条例がある街も存在する。しかし、新宿にはそんな条例はないのだろう。自分の店の看板さえ目立てば良いという身勝手な発想で街はドンドン秩序を失っている。
 東京の街にも景観条例を!とか、外国人観光客にも受け入れられるようにヨーロッパのように整然とした町並みを!というような意見も耳にしたことがある。街に秩序が戻るなら、そういった運動も必要だろう。でも、ぼくはそれらの美化を志す意見に漠然とした違和感を覚えていた。
 シムシティーの東京モードを見て、違和感の正体を理解出来た。
 現在の雑多な看板が乱立する景色こそ東京の顔なのだ。それが美しいかは問題ではない。このドロドロとした欲望にまみれたようなケバイ様こそ新宿なのだ。
 外国人観光客はその雑多な風景を見て初めて"Wow! It's Tokyo! Cool!"とか思うのだろう。これが、地元と同じような整然とした町並みだったら、10時間以上飛行機に乗ってきた意義も見いだせなくなってしまう。
 香港の景色を想像してくれと言われたらやっぱり、返還前のケバイ電飾が道路の上に設置されているような風景が思い浮かぶ。ニューヨークを想像してくれと言われたら、カウントダウンイベントに浮かれるタイムズスクウェアとかが思い浮かぶ。
 美化も必要かもしれないが、無二の特徴を捨ててしまったら何も残らない。自分の強みを理解せずに右に倣えで美化を進めたら、キレイな街になるかもしれないが、地方の駅前とかアーケードみたいな無個性な街が出来上がってしまうだろう。
 夜の新宿は好きな景色ではない。でも、あれこそが個性なんだろう。