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パパ出動

by 唐草 [2017/06/28]



 不本意だけれどもUSBメモリを使っている。ウイルス感染や紛失の危険性を考えると物理メディアは可能な限り使いたくない。できれば、すべてをクラウド経由で済ませたい。
 でも、そうも言ってられない状況もある。
 ぼくはノートPCを持っていないので、職場でPCを借りている。だが、貸してもらえるPCは同じハードなのにソフトが統一されていないという管理不行き届きな状況にある。しかたがないので、USBメモリにインストールできるポータブルアプリ群を持ち歩いているのだ。
 ぼくが使っているUSBメモリは、見た目のかっこよさだけで選んだ品。USB端子の幅と同じ細いサイズで、鏡面仕上げの金属製のボディーが輝いている。また、USB端子の色は赤という変わった品である。特徴的なめいた目とは裏腹に、標準的なUSB2.0規格で16GBの容量というありふれた性能。
 だが、ひとつだけ困ったことがある。
 本体が小さすぎるのだ。
 普段USBメモリは、ボールペンや印鑑と一緒にペンケース入れている。だが、小さすぎるのですぐに見失ってしまう。中身を全部出して確認しないと、ペンケースの中に入っているのかが分からなくなってしまう。帰宅する際にいちいちペンケースの中身を全部出して確認するのは面倒なのだ。
 そこで、さらに不本意ながらUSBメモリにストラップを付けることにした。メーカーも小さいことを理解しているのか、USBメモリにストラップホールを付けている。これを利用しない手は無い。
 ストラップを付けたらかさばってしまう。何のために小さなUSBメモリを購入したのか分からなくなってしまう。だが、背は腹に代えられぬ。
 ストラップを探して引き出しを引っかき回していたら、ムーミンパパのストラップが見つかった。ぼくの大好きなムーミンパパ。シルクハットの似合う自称小説家、要するに無職で甲斐性無しのパパだ。
 かくして、ぼくの小さなUSBメモリには本体よりも大きなムーミンパパがぶら下がることになった。おかげでUSBメモリを見失うことは無くなった。でも、パパの存在感がありすぎてちょっとイヤだ。