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豪華クルーズの旅

by 唐草 [2018/12/29]



 今年も地元の図書館で「本の福袋」的なイベントが開催されていた。もはや「本の福袋」は珍しいイベントでも何もない。ありふれた年末の風物詩といった感じしかない。良く言えばこなれた感じはするが、広く認知されて愛されているというようなポジティブな印象は残念ながらほとんど無い。ついつい「惰性で続いているだけでは?」と冷ややかな目で見てしまう。要するにあまり盛り上がっている感じがしないのだ。
 とか何とか否定的な言葉を並べているのだが、今年も「本の福袋」を利用している。積極的なイベントではないものの、普段絶対に手に取らないであろう本に触れる機会であるのは間違いない。
 今年の福袋には「旅」をテーマにした本が3冊入っていた。小説、エッセイ、ムック本という構成だった。旅をテーマにしているだけで、それぞれの本に何のつながりもない。まさに福袋的なごった煮感のあるチョイスである。
 この3冊の中でぼくの目を惹いたのは、世界のクルーズ旅を紹介しているムック本だった。ムック本を手に取ったのは「絵が多いから」という幼稚園児並みの理由である。見出しと写真だけを見るような感じでパラパラとページをめくっていった。
 本文なんて1%も読んでいないのにぼくはある結論に達した。
 「豪華客船で巡る長期クルーズ旅には微塵の興味もない」
 こんな身も蓋もない結論に至ってしまった。
 ぼくはそもそも旅が好むタイプの人間ではない。それでも、機会があれば世界遺産とか華やかな大都会とかで地図を片手に散歩をしてみたいと思っている。ようするに目的地での行動にしか興味が無いのである。ぼくにとって道中は単なる移動でしかない。
 こう言うと「旅の情緒が分かっていない」とかお叱りの声を受けそうな気もするが、そんな声に耳を貸すつもりはない。ぼくにとって旅は、目的地での行動が最重要であり、そこへ至る道すがらは可能な限り短くしたい。だから青春18切符を使わずに新幹線にも飛行機にも乗る。とにかく最速で目的地に着ける方法を選ぶのだ。道中が大切だと言うなら目的地まで歩いて行けよ。
 そういう価値観のぼくにとってクルーズ旅は時間をロスしているようにしか感じられない。もちろん豪華客船内でのホスピタリティーは素晴らしいとは聞いている。シアターありカジノあり、そして食事も美味しいらしい。でも、シアターに行きたいなら直接ニューヨークのブロードウェーへ行くし、カジノへ行きたいのだったらラスベガスへ向かう。
 とは言え、完全に無関心という訳でも無い。もし豪華客船に乗ったらやってみたいことがある。それが、水平線から上る朝日と海の没するように沈む夕日を見てみたいという好奇心である。これを満たすには2泊3日もあれば十分だ。十数日かけて太平洋を渡る必要なんてどこにもない。