by 唐草 [2023/12/03]
ギターの速弾き動画には、偽物が少なくないという噂を耳にした。
ちょっと速めに弾いた動画を早送りに編集して、別撮りの速弾き音源を重ねて作るそうだ。チープなトリックだが、素人を騙すには十分な編集マジック。ギターなんてまるで分からないぼくはコロッと騙される。
トリックで作られた騙すための動画なのでフェイク動画と呼んで良いのかもしれない。一般的なフェイク動画とは少し毛色が違うけれど。
偽動画の存在は、本当に速弾きできる人たちにはいい迷惑。とは言え、実力者たちはフェイクのまん延にただ手をこまねいているわけではないそうだ。早送りしていない証拠を映すことで動画の速度をいじっていないと証明しているそうだ。
もっともメジャーな方法は、アナログ時計を写しながら演奏する方法。確かにぼくも不自然に時計がアップになったギター演奏動画を見たことがある。その時は妙な構図の映像だと思っただけで深くは考えなかった。だが、演者以上に目立つ時計にそんな重要な役目が託されていたとはビックリだ。
それでも時計が映っていれば細工なしの動画と言えるのだろうか?
時計が証拠になることが広く知られた今、時計に細工する人が出てきても不思議はない。2秒に1回秒針が動く時計があれば、2倍速演奏動画を簡単に作れる。そろそろ秒針の速度を自由に調整できて、文字盤のデザインを簡単に変えられるフェイク動画支援用時計が発売されても良い頃かもしれない。
アナログ時計すら信じられなくなったら、何を映せば動画の速度を編集していないことを証明できるだろうか?人間が介入できない自然現象を映すより他に手立てはなさそう。
光の速度は一定だけれども速すぎて使えない。他におおよそ一定になる自然のものに重力がある。すなわち落下速度を利用すれば良い。ということは、無編集の証明には砂時計を写すのが手っ取り早そう。と思ったが、砂時計って形や大きさ、中の砂の種類によって落ちる速度はマチマチ。なにより砂の粒子は小さすぎて動画では動きを確認できない。
究極にアナログな砂時計がデジタルのフェイクを打ち破れるかと思ったが、うまくいかないようだ。