by 唐草 [2022/08/15]
ぼくが一番好きなフィクションのジャンルはミステリーだ。見るドラマも、読む小説もミステリー。作中の手がかりを駆使して、解決編の前に犯人を明らかにすることに熱意を傾ける。
だから、ぼくのミステリー作品の評価は「勝ち負け」。作者との知恵比べだけを楽しんでいる。ちなみに勝率は2割台。
最近は犯人探しに固執するあまりメタな分析をするようになってしまった。ドラマなら出演者の格を使って犯人の目星をつける。ここまでやってしまうと作品そのものが楽しめなくなる。だから、この2年ぐらいミステリーから距離を置いている。好きすぎるがゆえのジレンマだ。
ミステリーの次に好きなのがファンタジー。ドラクエと指輪物語で育ったので剣と魔法の世界が大好きだ。ぼくの基準だと『STARTWARS』はファンタジーに区分される。中世っぽい世界でなくても魔法的なものがあればみんなファンタジーなのだ。
泥と血の匂いのするファンタジー世界を冒険するゲーム『WITCHER 3』に魔法犯罪を捜査するサブクエストがある。これが良くできていて素直に捜査すると犯人の罠に落ちるようになっている。魔法のある世界だということを理解していないと犯罪を止められない。
このクエストを遊んだ際にファンタジー✕ミステリーには無限の可能性があるのではないかと感じた。例えば科学捜査的手法の魔法版があったら面白そうだと思った。
ぼくの期待とは裏腹に、設定を考えてみるとファンタジー✕ミステリーは最悪の組み合わせだということがすぐに分かった。
例えば密室殺人。魔法があればやりたい放題だ。魔法で鍵を閉めました。瞬間移動魔法で部屋から出ました。部屋の外から即死呪文を掛けました。とかそんな感じ。不可能犯罪が成立しなくなる。
ミステリーというのは、ぼくらの常識の延長線にある世界で物語を紡ぎ出すもの。それに対してファンタジーは、ぼくらの常識とは異なる世界で物語を紡ぎ出す。まったく別物。魔法探偵って字面は面白そうだけど、ぼくが求める本格推理は成立しない。どこまで行ってもファンタジーはファンタジーにしかなりえない。残念。