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殿様か!?

by 唐草 [2012/01/10]



 電車の中で気になる会話を耳にした。
 それは、ぼくの前に座っていたスーツを着た4,50代の男性2人の会話。静かな午後の車内でぼくが彼らの会話に気が付いたときは、次のような無難な会話を交わしていた。
「この連休なにをされていましたか?」
「実家の植木の手入れと草むしりをしていました。」
「全部自分でやるんですか?」
「ええ、業者に任せると日当で何万も取られてしまいますから。」
 庭の手入れに関する話で盛り上がる両名。そのまま植木の手入れの話題が続くのだが、その内容は意外な方向へと進んでいくことになる。
「除草剤使うと確かに楽なんですが、土が死ぬんですよね。そうすると石垣が崩れてしまうんですよ。」
 えっ?今、なんて言った?石垣って言ったよね?石垣がある家ってどんなお屋敷だよ?と口から出そうになるほど驚いたのは、どうやら暇つぶしに会話を盗み聞きしているぼくだけのようだ。相手は、淡々と話を合わせている。石垣ってそんなにメジャーなものだっけ?
 だが、石垣オーナーでは無い方からも驚きの言葉が出た。
「うちの竹林も手入れが大変なんですよ。放っておくといろんなところからどんどん竹が生えてしまうんですよ。」
「竹ってすごいですからね。」
「そうなんですよ。うちは切った竹の中に直接除草剤を流し込んで駆除してますよ。」
 えぇっ!石垣オーナーの相手は、竹林保有者なの?このおっさんたちどっちも殿様かなんかなの?だったらいちいち石垣だの竹林だのに驚きはしないだろう。どちらも城を守るには欠かせない。
 待て待て待て。殿様が仲良く電車乗って会話をしているなんて不自然すぎるだろう。中央線の中で聞いた話だからどちらも東京に石垣や竹林を持っているように聞こえただけだ。地価の高い関東ならいざ知らず、地方の土地持ちだったら石垣のひとつやふたつ持っていても不思議ではない。そう、元地方豪族の末裔ならね。って、やっぱり殿様の子孫かよ。