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スタンドアロンの錯覚

by 唐草 [2024/03/07]



 日々進化するWeb版Office系アプリ。初めの頃は、アプリがなくても中身をなんとなく確認できるちょっと便利なツール程度だった。でも、今ではスタンドアロン版と遜色なく利用できる。数万レコードに及ぶ大きなデータを扱ったり、エフェクト盛々の印刷物を作るとかでも無い限り大抵のことはWeb版で済む。
 事実、ぼくの仕事はGoogleDocとSheetで事足りている。複数のPCで仕事をするので、ファイル同期に煩わされない分スタンドアロン版より使い勝手が良い。だから、仕事中は常にブラウザで開いている。
 Web版を使うとき、ぼくはWebアプリだと思っていない。独立した1つのアプリだと思って使っている。独立したアプリのように使える完成度は素晴らしいが、その完成度が弊害を生み出していることに気づいた。
 例えば、英訳したテキストをスプレッドシートに貼り付けるとき。Google翻訳で訳しているので、隣のタブに切り替えて貼り付ければ良い。だが、ぼくは翻訳アプリと表計算アプリを使っていると思い込んでいる。だから、タブを切り替えるのではなく、アプリそのものを切り替えようとする。つまり、翻訳が表示されたブラウザを最小化して、タスクバーから表計算ソフトを探すのだ。
 当然のことながらタスクバーには表計算ソフトは存在しない。1秒にも満たない時間だが、マウスカーソルがあてどなく宙を泳ぎ自分のミスに気が付く。そして、再びブラウザを選択して再度表示された翻訳画面にぼくのミスがバレないように「ただいま」と心のなかでクールに告げて、隣のタブのスプレッドシートへ移動するのである。
 こんなミスを1日に何度もやってしまう。
 Webアプリが優秀過ぎてブラウザを使っている感覚が希薄になっている。ぼくとしては専用アプリを使っているつもりだ。
 Gmailだってブラウザだけで十分。それなのにThuderbirなどのメールソフトを使ってしまうのも似たようなもの。メールはメールソフトで扱うという思い込みがあるからだ。
 三つ子の魂百までじゃないけれど、1機能1アプリという古い呪縛から逃れられないでいる。