by 唐草 [2014/04/06]
『二銭銅貨』の現代版を考えてみようという前日記事からの続き
高性能な3Dプリンターを駆使して中にスペースのある500円玉を準備できたとしよう。
では、中に何を入れようか?
オリジナルの『二銭銅貨』では、点字ベースの暗号で盗まれたお金の在りかが書かれた紙が入っていた。この暗号はチープで、解読の方法も強引。作品の本質を理解していないと、安っぽい暗号に整合性の無い解読という判断を下してしまうことだろう。昔は、それでも良かったんだとさえ思ってしまいがち。
でも、その判断は誤りだ。
作品をしっかり読めば分かることだが、この暗号はチープで強引に解読できてしまうところが重要。だって偽の暗号文だし、そもそも解読するフリをしているのが暗号ネタを仕掛けた張本人。自作自演で主人公を翻弄するための仕掛けなのだ。本物らしさが無いことが、大どんでん返しを臭わせる重要な演出。
さて、話を元に戻そう。
現代版『二銭銅貨』だったら、硬貨の中に何を入れるだろうか?
500円玉のサイズがあれば、micro SDを入れることができるだろう。もうこの仕掛けがあれば、なんでもやりたい放題である。
古風に宝の地図を入れていてもいいだろうし、より現代版らしくしたいのであればbitcoinの取引データなんかを入れておくのもいい。暗号化だって解読されても不思議はない程度のものを準備することもできる。何文字おきに読めだとか、文字の出現頻度から文字の置き換えを予想するといった古典的な暗号の出る幕はない。
ただ、SDカードが入っているというのは、ちょっと現実過ぎて話がフェイクであることをにおわせにくいようにも思える。
では、Suicaなどの非接触型のICを入れておくというのはどうだろう。
このチップには1億円チャージされている。
世界一価値のある500円玉という事になるだろう。
こっちの案はテクノロジー的に実現不可能だが、ただ単に記録メディアが入っているよりも現代的な気配がする。でも、これだと謎解きパートが無くなってしまうなぁ。やっぱりSDカードを入れておくか。