by 唐草 [2022/11/12]
リアリティーを追求した絵を描いたり立体物を作るときには、現実という最良のお手本が存在する。だから目指すべき1つだけの理想の形へ真っ直ぐに邁進することができる。もっともそれを実現するには圧倒的な技術力や観察力が求められる。だから、お手本が目の前にあるからと言って、誰もがリアリティーを実現したリアリズム作品を作れるわけではない。
リアリティーを追求しない別の表現方法もある。デフォルメが別解のひとつである。デフォルメというと二頭身キャラのようなイメージが強いが、それはたくさんあるデフォルメ手法のひとつでしかない。陰影を廃して平面的に描くのもデフォルメのひとつだし、シャープに描くのだってデフォルメ。記号のように単純化するのもデフォルメだ。
ひとつの絶対的な正解を追うリアリズムと異なり、デフォルメには無数の解が存在している。だからこそデフォルメは面白くもあり、同時に難しくもある。
ぼくは正解がひとつしかないリアリズムよりも、多義的な解釈が許容されるデフォルメのほうが好き。もちろんリアリズムを実現できるだけの技量がないという事実から目を背けている部分もあるだろう。でも、それを差し引いてもデフォルメのほうが好きだし、デフォルメされたものばかり作ってきた。
先日、放置されていたハードディスクから回収した古い自分の絵を見て考えていることがある。ぼくのデフォルメ絵を立体化するとしたら、どのような手法を採るのがベストなのだろうかということである。
例えば、腕や脚のパーツが独立しているギコ2のキャラクターを立体化するとしよう。これを素直に立体化すると野球ゲームのパワプロ君のような感じになるだろう。でも、ぼくの中では脚が体から離れているイメージはない。
むしろ「ちいかわ」のように小さな手足がついているイメージに近い。その姿は平面の絵からはかけ離れているかもしれない。でも、かけ離れているのはゲーム内での視認性を考慮したデフォルメの結果である。
どんな形でアウトプットするのが、ぼくの脳内にある立体のイメージに近づけるのだろう。パワプロ君かちいかわか。