by 唐草 [2023/05/07]
もはや「ログイン」という言葉を見ない日はない。その日が平日だろうとも休日だろうともだ。自分のPCを使うときに始まり、メールチェックやゲームプレーに至るまであらゆる場面で様々なアカウントにログインする。
多くのサービスでアカウントを使い分けられるのは、アカウント名とパスワードをブラウザに記憶させているから。ひとつひとつ手打ちをしていたら、こんなに多くのアカウントを作ることはできなかっただろう。たとえすべてのサービスでアカウントとパスワードを使いまわしていたとしてもだ。
最近ではパスワード生成すらOS任せ。どうせブラウザやOSに覚えさせるのなら、初めから人間技では作れない複雑なパスワードを自動生成するのは理にかなっている。
なので、ログインするときぼくが行う操作は1つだけ。サイトのどこかしら(多くは右上)にあるログインフォームへのボタンを押すだけ。
課せられた操作はこんなにも簡単なのに、ぼくの手は時々フリーズしたかのように止まる。似たラベルの2つのボタンを目の前にして、どちらを押せば良いのか分からなくなるのだ。
それが、「サインイン」と「サインアップ」。
片方はぼくが期待する既存ユーザがログインするためのボタン。もう一方は、新規ユーザが新しいアカウントを作るボタン。押し間違えても一手間増えるだけで大きな問題はない。だが、どうしても間違えたくない。だから、まるで爆弾解体で青と赤のどちらの線を切るか迷っているときのように、真剣な面持ちのまま手が止まる。もしかしたら、マウスを握る手が震えているかもしれない。
そして、固まったまま思う。「どうして似た単語を並べるんだ」と。「ログイン」と「アカウント作成」にしてくれれば、悩む必要なんてない。英語で書くのであれば”Login”と”Join”にしてほしい。
ぼくが迷う根本的な理由は、己の英語力の乏しさにあるのかもしれない。しかし、視認性からも大きく異なる言葉にしたほうが良いのは間違いない。
ええい、1/2の確率だ。右を選ぶぜ!とサインアップを力強くクリック。
表示されたのは新規アカウント作成画面。そっちじゃない。