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金縛りの季節

by 唐草 [2019/12/03]



 宇宙人や幽霊、そしてチュパカブラとかのUMAの噂話、広義にくくればオカルト話が大好物なぼく。好きなんだけれども、まったく信じていない。ぼくがこれらの話に惹かれるのは、物語や怪物を生み出す人間の想像力とその話が受け入れられる社会の情勢の方。怪物が好きなんじゃなくて、怪物を生み出し拡散していく人間の姿が好きなんだ。ぼくも後世に残るモンスターほら話を生み出してみたいと願っている。
 そんなぼくは、毎年のように金縛りにあっているとうそぶいている。睡眠中にハッと目が覚めると体が動かせないという現象に見舞われているのである。これっぽちも霊的な仕業だとは考えていない。でも、科学が発展する前の時代であったり、自分に後ろめたいことがある人は、この現象を金縛りと捉えてひとり恐怖していたのだろうと考えると真夜中に興奮してしまう。誤解されないように断っておくが、束縛されていることに興奮しているのではない。
 ぼくの金縛りは、ある意味で季節の風物詩のようなものなのである。
 昔は、寒くなってくるとぼくが眠るベッドの上に猫が乗ってきて体が動かなくなった。金縛りのような体験を通して猫が布団に乗るような寒い季節へと移ったと感じたものである。一句詠めそうなシチュエーションだ。その猫もこの世を去ってしまい、今では猫由来の金縛りにはあっていない。オカルトが真実であるなら、猫がこの世を去ってからではければ金縛りは起きないだろう。
 今年も金縛り体験にあっている。先日、まるで膝の上に誰かが座っているような痛みを感じて真夜中に目を覚ましたのである。このときぼくの膝の上には確かに物が載っていた。それは、この世をさまよう幽霊でもなければ、暖かさを求める利己的でずる賢い猫でもなかった。ぼくの膝を縛っていたのは、急な寒さのせいで干さずに敷いた少し湿気った掛け布団だった。
 やはり半年以上押し入れにしまっていた布団は、湿度を目一杯吸って重くなっていたようだ。昔、あるエッセイで「高級羽根布団を買ったら肩こりがひどくなった」という笑い話を読んだことがある。これはズボラな筆者が、布団を干さずに使っていたらいつの間にか湿気で重くなっていたというオチだった。この話とほとんど同じ原因の金縛りである。
 布団はちゃんと干そう。これは、布団の付喪神からメッセージだろうか?