by 唐草 [2022/08/04]
ずっと前から買おうと思っていたのに、買わずじまいになっていたものがある。それが、パン切り包丁。
パン好きのぼくは、1.5斤サイズの切っていない食パンをよく買う。その日の気分とパンに乗せるものに合わせて切る厚さを変えてパンを楽しんでいる。
だが、ぼくはパンを切るのが致命的に下手。これまでに切ったパンの枚数は覚えていないが、機械で切った食パンのようにまっすぐ切れたことなんて5枚もない。いつも上下で厚さが不揃い。横から見ると台形になっている。いくらまっすぐ切ろうと考えていても曲がってしまう。
何も考えずに切ると下が薄くなる。それを逆手に取って意識的に下を厚くしようと刃を入れると、狙ったとおり下が厚くなる。意識的な動作と無意識の動作が、お互いの欠点を相殺するなんて都合の良いことは起きなかった。
パンをまっすぐに切れないのは、ぼくが不器用だから。でも、その事実を認めたくないので道具のせいにしてきた。パンを切るのに使っている刃渡り15cmの小ぶりなペティナイフが悪いという結論に至っている。
パンの幅と同じぐらいの短い刃を小刻みに動かして切るから難しいんだ。長い刃なら機械で切ったようにまっすぐ切れるはず。
よし、パン切り包丁を買おう。
朝にパンを切って、その不格好さを目にするたびにこう考えていた。
その決意はパンを食べ終える頃には忘却の彼方へ消え去っていた。こうしてぼくはパン切り包丁を買おうと誓う朝を何度も過ごしてきた。
先週、ついにこのループのような朝から抜け出せた。ぼくのパン切りスキルが向上してパン切り包丁が不要になった。なんてことなら良かったのだが、そうではない。
あまりに不格好なパンに朝からブチ切れ。トーストが焼き上がる3分の間にAmazonでパン切り包丁を購入したのだ。
これでぼくの朝は心穏やかなものになるだろう。
なお、今週はカット済みぶどうパンを購入したのでパン切り包丁の出番はまだない。せっかく買ったのに食欲に左右されて真価を発揮できていない。それとも道具を言い訳に使っていたことに気づいているので、パン切り包丁を手にすることを恐れているのだろうか?