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止まらぬポピー軍団

by 唐草 [2013/05/18]



 何年か前に近所でポピーが増えているという話を書いた。急に増えだしたので、夜な夜な誰かが種を撒いているのではないか?と疑ったほどだ。結局、何がきっかけとなってポピーが増えたのかは分からずじまいだった。
 それから数年経った今、近所は大変なことになっている。
 街路樹の根元、塀の隙間、遊歩道の緑地、駐車場のフェンス周囲といったような管理する人がいないありとあらゆる地面からポピーが顔を覗かせている。それも、地面を覆い尽くすほど密集して生えている。もはや、何のありがたみもない程の群生。完全に雑草の域だ。
 増え始めた頃は、種まきおじさんの姿を想像したりもした。でも、ここまで町内がポピーに埋め尽くされると人の手で種まきをしたとは思えなくなる。個人の手に負える量ではない。誰かがやったとするなら相当な人海戦術で種まきをする必要がある。でも、そんな姿は一度も見たことがないし、風の噂にも聞いたことがない。
 これらのポピーは、すべて自然に繁殖したものなのだろう。恐るべき繁殖力。
 ポピーの鮮やかな花の色と紙のように柔らかい見た目は、見るものを楽しませてくれる。だから無秩序に繁茂していても、ドクダミのように嫌われることはない。別に抜かなくても良いかと皆が心を許していたら、我が町内はポピーの魔の手に没してしまったというわけだ。もう、今となっては手遅れだ。駆逐は難しいだろう。
 花の季節が終わり、今ポピーは種の準備をしている。花のあった場所には、大きなサヤのようなものができている。あの中には、いったいどれだけの種が含まれているのだろうか?
 あと何日かすれば、数千もの小さな種が飛び出すことだろう。来年は、きっと今年以上に繁茂する。もう、ヤツらの勢いを止めることはできない。小さな我が町が、オレンジ色の海に没する日も近い。