by 唐草 [2013/12/18]
ぼくは、菓子パンばかり食べていると思われている。菓子パンは大好きだが、そればかりか食べている訳ではない。米も食べるし、肉も野菜もちゃんと食べる。
とは言え、食に対するこだわりはあまり強くないかもしれない。自分の家でそれなりに美味しいと思えるものが食べられれば満足だ。
もちろんメディアに取り上げられ星をもらっているような美味しいものを食べられれば、ぼくだって満足そうな笑顔になることだろう。でも、わざわざ足を運んでみようとは思わない。
小市民らしくささやかな食事で日々を過ごしている。
先日、ネットで美食家が出てくる某有名マンガの一部を見る機会があった。コラージュの素材としても有名なコマを含む美食家の発言がいくつかがまとめられていた。
その中で、美食家はありとあらゆる料理に不平を述べていた。料理人に文句を言い、食材をダメにする料理法だと料理を罵り、綺麗に食べることができない盛り付けだと不平をこぼす。
また、主人公も目の前の料理を全否定して「明日、本物を食べさせてやる」的なことを言っている。
とにかく料理の否定ばかりだ。
物語の流れとしては、最後に美味しいものへとたどり着くのかもしれないが、果たしてあれほどまでに否定していて楽しいのだろうか?
北大路魯山人のような現実の美食家が、どのぐらいの料理を許容していたのかは分からない。
でも、過剰なこだわりを持って自分の許したものしか食べないような姿勢は、端から見ていて気持ちのいいものではない。何よりも否定をしている本人が幸せそうに見えない。
もちろん美味しいものを食べたいという欲求は大切だと思う。でも、それをこじらせ食べる楽しみを見失っては意味がない。
出された料理を受け入れ美しい姿勢でいただく。それこそが美食家の姿勢であってほしい。