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音を後回しにしたツケ

by 唐草 [2024/04/17]



 オールマイティーにPCを使えると自負している自称「PCの大先生」のぼくだが、正直言うと苦手なこともたくさんある。ぼくは視覚情報を重視する人間なので画像編集やプレゼン向けの資料作りなんかは割と得意。一方で、聴覚情報を扱うのは大の苦手だ。
 そんな苦手意識のせいで、ゲーム制作でも音声データから1年以上逃げ続けてきた。今回の開発でも音を組み込むのを後回しにし続けた結果、最後の最後まで残ってしまった。いよいよ逃れられなくなり音を組み込み始めたのだが、先延ばしし続けたツケが一度にぼくに襲いかかってきた。
 音と動きが合致しなかったのだ。
 例えばアイテムメニューを閉じるとき。アイテムを使って自動的に閉じるときは、アイテム選択の音が鳴るべき。一方、キャンセルボタンで閉じたときはキャンセルを伝える音が鳴るべきだ。このように同じ「閉じる」動作でも、肯定的な操作により自動的に閉じる場合もあれば、能動的な否定によって閉じる場合もある。
 だが、ぼくは「閉じる」命令の過程で音がなるように作っていた。だから、ユーザの操作にかかわらずいつも同じ音が鳴る。これではアイテムを使えたのか、それともキャンセルしたのか分からない。
 戦闘の音声制御には別の設計不良があった。攻撃アクション開始とともに音が鳴るので武器を振り上げた時点でヒット音が鳴る。遠くの音は遅れて聞こえるが、それの逆バージョン。光より先に音が届く感じだ。これでは攻撃している感じが全然しない。
 音はたった0.1秒でもズレていると違和感を覚える。それはパースの狂った絵を見せられたときのとらえどころのない不安感に似ている。音のズレのせいで、ゲームはとてもキモチワルイ状態になっている。この他にも命中音が攻撃者側で鳴るせいで、攻撃が当たると急に武器を振る音が途切れる問題も起きた。
 すべては音を後回しにして、開発を続けてきたツケだ。
 苦手なことはさっさと終わらせたほうが賢明だ。夏休みの宿題は7月中に終わらせたし、食事では美味しいものを最後に残すぼくだが、開発だけはどうしても苦手なものを最後に残してしまう。