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3度目のミカン

by 唐草 [2024/01/05]



 この冬は、どういうわけか食べ物のおすそ分けにあずかる機会が多い。物価高なので困窮してなくとも何かをもらえるのはありがたい。とは言え、残念なことに1月3日の望まぬおせちセットのように素直に喜べないものが続いている。
 先月の上旬に隣人から10個ぐらいリンゴを頂いた。隣人の実家はリンゴ農家なので「近隣の人に配るべし!」という田舎の発想で毎年大量に送りつけられてくる。我が家は、毎年そのおこぼれをありがたく頂戴してきた。ただ今年は「あまり美味しくないと思います」というネガティブな言葉とともにリンゴを渡された。いつもと同じおすそ分けなのに、その一言のせいで押し付けられた感が強い。
 リンゴの種類を確認すると生食よりアップルパイや焼きリンゴにするのに向いた品種のようだ。ベストな味わいで食べるのは面倒そうだ。でも、生で食べられないわけではない。生で食べるならもっと美味しいリンゴがあるんだよなぁと考えないようにリンゴを食べていこう。そう考えているが、まだ1つも手を付けていない。
 リンゴの他にミカンももらっている。今日もらったので3回目のミカンおすそ分けとなる。
 最初にもらったのは、鏡餅の上に置くのにちょうどいい大きさの小ミカン。金柑サイズだが、濃いミカン色をしている。小さくても味はしっかりミカンだと言うことだった。そして2度目にもらったのは正真正銘の金柑。小ミカンも金柑も別の人からもらっているが、どちらも自宅の庭で採れたものらしい。
 小ミカンと金柑は、正直言って食べられたものではなかった。酸っぱい味に強くレモン丸かじりも余裕だと自負しているこのぼくが、涙を流してむせるほど酸っぱかった。あれは食べ物ではない。毒だ。フードロス削減を訴えるぼくでも躊躇なくゴミ箱行きだった。
 こんなことが続いたので、3度目のミカンおすそ分けを素直に喜べなかった。三度目の正直となるよりも、二度あることは三度あるという結末に至るとしか思えない。
 とは言え、食べてみるまでミカンの味はわからない。シュレディンガーの猫のような話だ。
 勇気を出して一房食べてみる。
 よかった、普通のミカンだ。