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カラスの傾向

by 唐草 [2024/04/22]



 カラスは農作物を襲ったりゴミを荒らしたりと厄介事を引き起こす鳥だ。他の多くの鳥よりもずっと賢いので対策が難しいことも厄介さを加速させる。黒い不気味な見た目のせいもあり害鳥としての悪いイメージが先行しがちだ。
 そんな嫌われがちなカラスだが、公園などにいる個体をじっくり観察してみるとなかなかおもしろい。光るもので遊んでいたり、数羽で鳴き交わしコミュニケーションをとっているような場面を目にすることも少なくない。黒く大きいので見つけやすいことも相まってカラス観察に熱中してしまうこともある。
 ぼくの暮らす多摩地区で見られるカラスのほとんどはハシブトガラスとハシボソガラス。その名の通りクチバシが太いのがハシブトガラス。頭の高さと同じぐらいにクチバシが太い。南国にいるクチバシの大きなオニオオハシほどは大きくないが、頭の造形を見ると一般的な鳥のイメージから逸脱するほどクチバシが幅広い。
 一方のハシボソガラスのクチバシは頭の半分ぐらい。こちらは鳥らしい均整の取れたバランスをしている。多くの人がカラスを思い描いたとき頭に浮かぶのはハシボソガラスのほうだろう。
 数年前、近所で見られるカラスの多くがハシブトガラスだった。野鳥の会よろしく数えたわけではないのでハシブトガラスの正確な割合は分からないが、体感で8割ぐらいに見えた。そんな状況だったので、ハシボソガラスを見ると「珍しいな」と思ったものだ。
 だが、今カラスのバランスが激変した。見かけるカラスの多くがハシボソガラスだ。それこそ体感8割ぐらいの比率に見える。この数年でカラスの勢力分布が完全にひっくり返った印象だ。
 いったい何が原因でカラスの勢力図が変わったのだろう?
 印象だけだとコロナ禍の前後で変わったようにも感じられる。カラスは人間の営みの近くで生きる鳥。人間の生活リズムが変われば、それが影響する可能性もあるだろう。
 ずっと前から東京都はカラス駆除に躍起になっている。罠を仕掛けて駆除に精を出すよりも、自分たちの暮らし方を見つめ直したほうが理想とするカラスとの付き合い方を簡単に築けるのかもしれない。