by 唐草 [2023/02/20]
ヨドバシカメラのテーマソングがアメリカ愛国歌の替え歌だと知って以来、この歌がアメリカ人の誇りを傷つけるのではと気をもんでいた。国際意識の低い日本の商業活動が国際問題に発展するのではと恐れてもいた。
そんなぼくの杞憂をよそに、今日もアメリカ人観光客は自国の古い歌がハチャメチャになっているとは露と知らずにヨドバシカメラで家電を購入する。
日米の童謡や民謡を調べている内に思わぬ発見があった。
そろそろやってくる卒業式シーズン。卒業式では『蛍の光』が定番。きっと今年はこの歌を歌うためにマスクが欠かせぬ卒業式になるのだろう。先日少し熱く書いたので、今日は卒業式でのマスクの是非は置いておこう。話が逸れたが、「蛍の光」がスコットランド民謡の『オールド・ラング・サイン』という歌がベースになっているというのは有名だ。
原曲の歌詞は友と過ごした昔を懐かしむ歌とも取れるが、イギリスらしい酒飲みの歌にも聞こえる。事実、イギリスでは新年を迎えるときの乾杯ソング的な位置づけという話もある。
イギリスから遠く離れた極東の地で酒飲みの歌とともに厳かな卒業式が執り行われていると思うとなんだか滑稽にも思える。
『蛍の光』以外にも海外の民謡を原曲とする日本の童謡はある。『アルプス一万尺』もそのひとつ。『アルプス一万尺』は、アメリカ民謡の『ヤンキードゥードゥル』という曲のメロティーを拝借している。『ヤンキードゥードゥル』はイギリス軍が「アメリカ人(ヤンキー)は間抜け(ドゥードゥル)」と揶揄した歌らしい。その後、アメリカ人が正反対の替え歌を作ってアメリカで親しまれるようになったらしい。
遠い日本で無関係な替え歌にされた曲は、本国でも替え歌で親しまれているという不思議。そんな不思議が生まれたのは、ついつい口ずさみたくなるシンプルだが軽快なメロディーの魅力なのかもしれない。
そんな優れた曲が生まれた背景には、多くの文化を持つ人が集まったアメリカという土地柄が色濃くあるのだろう。アメリカの各地に音楽の街が点在するのに納得だ。