by 唐草 [2024/03/22]
ここのところ屋外を歩いていると妙な感覚に囚われる。
それは捕らえどころのない感覚で自分と世界をつなぐ大切な基準を失ってしまったよう。とは言え、ふらついたり、膝に力が入らず歩けないといった現実的な問題は起きてない。あくまでズボンを履かずに外に出てしまったのではと焦るような漠然とした不安感でしかない。
実害はないとは言え、自分が自分でないようでキモチワルイ。違和感の正体を見つけないと気が休まらない。絶対に正体を突き止めてやるという強い意志を胸に、自分の一挙一投足に細心の注意を払って歩を進めた。
違和感の正体は意外なものだった。
背が低くなったと感じていたのだ。
10cmぐらい小さくなったような気がする。デジタル写真を編集するように、拡大縮小ツールで雑に高さ方向だけ縮小した感じ。足の長さが短くなったような感覚がある。
ぼくは身長を聞かれると170cmと答えることからも分かるように170cmには届いていない168cmだ。この身長は日本人男性の平均と比べて取り立てて小さい数字ではない。偏差値にすれば48ぐらい。
それがいきなり10cmも低くなったら一大事。急激に老化が進んで関節の軟骨がすべてなくなっても10cmも低くはならないだろう。
また、10cmも縮んだらお気に入りのシャツは流行りのオーバーサイズのようなダボダボのシルエットになるし、裾上げしてジャストサイズにしたパンツは時代劇の長袴のように裾を引きずることになる。
当然そんなことにはなっていない。関節は軋まず動くし、服はジャストサイズなまま。
つまり、実際に身長が縮んだ訳ではなく、ぼくの感覚が狂ったということになる。
この違和感はいつから始まったのだろう?
どうもメガネを新しくしてからのような気がする。
当初はレンズの度が変わったことで視界が歪んでいるように思えてしかたなかった。それは収まったが、どうも立体感覚にズレが残っているようだ。
メガネ利用者に話を聞いたら似たような経験のある人もいた。これまで数度度の変更を経験したが、身長が縮んだように感じたのは今回が初めて。