by 唐草 [2019/02/20]
15年ぐらい前までモータースポーツの主要スポンサーと言えばタバコ会社だった。レースカーにでかでかと張られたタバコ会社のロゴは、タバコを吸わないぼくの記憶にさえ残っている。活躍の陰にタバコマネーありというのが、ひと昔前のモータースポーツだった。
ところが、その潮流は健康志向の高まりとともに絶たれることとなった。ヨーロッパでタバコ広告の掲載が厳しくなって以来、華やかなレースシーンからタバコの広告は消えていった。Marlboroのロゴが大きく掲載されていたフェラーリF1の活躍を見ていたぼくが、その活躍に魅せられてタバコを手に取ることはなかった。ヨーロッパの広告規制はちょっと潔癖すぎるようにも思える。
タバコマネーを失ったレース業界が、援助を求めてすがったのがエナジードリンクだった。レッドブルは古くからスポンサーをしていたが、今ではF1チームを2つも持っている。モンスターエナジーは、NASCARやWRCなんかの箱車レースでよく目にする。
エナジードリンクはエナジードリンクで健康被害が叫ばれているが、タバコよりはマシなのだろう。まだ、広告の掲載が許容されている。しばらくはエナジードリンクの天下が続くだろう。
さて、今年のF1のスポンサーに新たにエナジードリンク会社が加わった。"RICH ENERGY"という黒い缶に金色のロゴがおしゃれなイギリスのエナジードリンクメーカーである。この敗色は、往年の名車ロータスJPS的でF1ファン的には歓迎できる。
みなさんは、RICH ENERGYを飲んだことはあるだろうか?それどころか、会社名を聞いたことがあっただろうか?
ぼくは飲んだこともなかったし、会社名も知らなかったし、缶を見たことすらなかった。ぼくからすると"RICH ENERGY"は、完全に謎な会社でしかなかった。
本国であるイギリスでは、日本でいうところのオロナミンCとかリポビタンDのような圧倒的な知名度があったりするのだろうか?気になって調べたところ、イギリスでも通販のみで販売されている特殊なエナジードリンクらしい。だから日本で買うのはほぼ不可能なレベルらしい。そりゃ、聞いたことがなくて当然だ。
でも、そんなマイナーなドリンクメーカーが、どうして年何十億円ものスポンサーマネーを支払うことができるのだろうか?売っているのはただの砂糖水だぞ。いや、ただの砂糖水を売っているからこそ、年間何十億も拠出できるのか?