by 唐草 [2024/01/11]
朝、新しいジャムのビンを開けようとしたが、封印されているかのようにびくともしなかった。力を込めすぎてジャムを塗ったパンのように真っ赤になった自分の手のひらを見て、これ以上朝っぱらから力いっぱい頑張ると寝起きの体を痛めてしまいそうだと判断した。結局、朝のパンはジャムではなくバターになった。
午後、準備を整えて再度ジャムのビンに挑んだ。まずは繰り返し使えるラップのようなシリコン製シートを2枚用意した。シートの1枚でビン本体をもう1枚でフタをしっかりと包みちょっとやそっとでは手が滑らないようにした。それでも、フタは微動だにしなかった。
そこで若干おまじないめいているが、ビンのフタを硬いテーブルに打ち付けた。こうすることで固着したパッキンがズレると聞いたことがある。だが、この話が迷信だったのか、それともビンが手強すぎただけかは分からなかった。結局、フタは開かなかった。
最後の手段としてビンのフタだけを熱いお湯で熱した。熱膨張を利用した昔からの手段を採用してようやくビンは硬い口を開いた。このときだってシリコン製ラップの滑り止めがあってようやく開いた。
この5年ぐらいだろうか?ビンのフタを開けるのに難儀することが増えている。考えられる理由は2つある。
1つはぼくの握力が低下している可能性。バリアフリーが広がったこともあり、水道の蛇口やドアノブからも分かるように日常生活の中で握力を必要とする瞬間なんて滅多にない。むしろ瓶を開けるときしか握力を意識することなんてない。
もう1つの可能性は、ビンの工作精度が高まりフタが強固に閉められるようになったというものだ。近年、高い食品衛生が求められるようになっているので、ちょっとやそっとではフタがズレないように以前よりも締め付けがきつくなっていても不思議はない。
ビンのフタが硬い主たる原因は、ぼくの握力低下か?それとも時代のニーズか?両方という可能性もある。
原因はどうあれビンのフタを開けるたびに顔と手を真っ赤にするのはバカげている。百均でビンオープナーを買ってこよう。