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サイバーテロという選択肢

by 唐草 [2018/12/07]



 昨日のソフトバンクの通信障害は、現代社会を生きる人々がいかにスマホ頼りになっているのかを明らかにした。たった数時間ネットを絶たれただけであの混乱である。いろいろな混乱があったようだが、ぼくの印象に残ったのは電子チケットが使えなくて会場に入場できないというニュースである。初めて聞く内容だったし、そんなトラブルを考えたこともなかった。「ネットなんて24時間365日どこでも使えるものだ」という前提に作られているサービスはたくさんある。数時間といえ、その大前提が崩れてしまったのだ。昨日の惨状を目の当たりにすると、もう携帯通信網はライフラインと呼んでいいのかもしれないとさえ思えてくる。
 NTTドコモ系の回線を使う格安SIMを使っているぼくは、まさに高みの見物状態だった。通信障害のニュースをネットで見ていたし、「まだつながらない」と愚痴っている人の脇でスマホゲームに興じていた。少なくともこの時点では、明日は我が身だとかそういう緊張感はまったくなかった。
 一夜明けて通信障害の原因が報道された。ネットワーク機器のソフトウェアの不具合だということらしい。ソフトウェアのバージョンを戻すことで状況は改善したらしいが、本当にその対応方法でいいのかという疑問が残る。
 公開された原因が真実なのかは、ソフトバンクの中の人にしか分からないだろう。ぼくらのような外野は与えられた情報を受け止めることしか出来ない。そういう一方的な状況だからこそ、ぼくのような陰謀論大好き論者が大騒ぎするのである。
 いったいネットのどこを見ているんだと責め立てられそうだが、ぼくの覗いている場所ではいくつもの根拠のない憶測が生み出されていた。「アメリカが中国のスマホメーカーであるファーウェイに対してスパイチップの制裁を行った結果の通信障害である」とか「大規模なサイバーテロが仕掛けられた結果、最も脆弱なソフトバンクだけが堕ちた」とか言いたい放題だった。まぁ、これはいつものことである。陰謀論はあくまで知的なエンターテインメントなのである。信じたら負けだ。
 ただ、驚いたことがある。陰謀論とは縁もゆかりもなさそうな人々までもがサイバーテロの可能性を口にしていたことである。ちょっと前まで「サイバーテロ」なんて可能性は陰謀論者か専門家以外口にすることなんてない言葉だったのに。2018年を生きる現在の日本人は、朝の地下鉄で毒ガステロが起きるよりも携帯通信網のダウンを狙ったサイバーテロのほうが起きうると考えているということなのだろうか?