by 唐草 [2014/07/01]
昨日、何年かぶりにタリーズコーヒーを訪れた。
暑くなってきたこの季節、メニューの花形は冷たいドリンクだ。ぼくは、このスターバックスもどきの店でTallがどの程度のサイズに該当するのかよくわからないまま、アイスカフェモカを注文した。
メニューには、普通のアイスコーヒーも掲載されていた。
でも、絶対に頼むつもりはなかった。そこには、ぼくの意地とプライドがある。ぼくが勝手に脳内で描いていたシナリオは、次の2つ。どちらに転んでもぼくの意地とプライドを大きく揺さぶる内容だった。
シナリオ1:アイスコーヒーが、すごくおいしかったら
ここのところぼくがアイスコーヒーを淹れようと四苦八苦している様子は、つぶさに書いてきた。少なくとも自分で満足できるレベルのコーヒーは淹れられるようになったと自負している。
だが、タリーズで出てきたアイスコーヒーが、すごくおいしかったらどうだろう。
ぼくが毎日悪戦苦闘してきたアイスコーヒー抽出作業は、完全に骨折り損のくたびれ儲けでしかなかったことが明らかになってしまう。所詮は、趣味のコーヒー。プロの前では、ぼくのコーヒーなんて泥水以下の黒い汚染水のようなものだと宣言されてしまう。
そんな悲しい展開はごめんだ。イスラム教徒がトンカツを食べたいと思わないのは、トンカツを知らないから。おいしいコーヒーを知らなければ、自分のコーヒーで満足できる。知らないことは、時として自衛になるのだ。
ということで、アイスコーヒーを頼まなかった。
シナリオ2:アイスコーヒーが、普通だったら
飲んだコーヒーが、自分の入れたもの並だったらどうだろう。400円も払ったコーヒーが、家で1杯20円程度で淹れられるコーヒーと同じだと知ったらどう思うだろう。
どんな顔でコーヒーを飲んでいいんだかぼくにはわからない。少なくともこの400円あれば、家でコーヒーを20杯飲むことができたはずなのにと涙を流すことになるだろう。
きっとコーヒーの苦さだけではなく、自分の選択の誤りに気が付いた苦みが胸いっぱいに広がってしまうことだろう。
ということで、アイスコーヒーを頼まなかった。
どちらに転んでも、今のぼくはアイスコーヒーを楽しめない。だから、無難にカフェモカで済ます。これがスマートな生き方。