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スマホがジャマをする

by 唐草 [2016/04/05]



 先日、江戸川乱歩の著作権が切れたらしい。乱歩の作品なんて、図書館に行けば簡単に手に入る。著作権が切れて青空文庫が充実しても、読者的にはあまり大きな変化は無いかもしれない。ただ、ファンとして電子書籍でも全集を持てることは、ある種の喜びである。
 さて、だいぶ前になるが暇つぶしに乱歩作品の現代リメイクを考えていることを書いた。別に出版するつもりとかはなくて完全に暇つぶし。でも、どの作品のリメイクもぼくの中では破綻してしまう。
 ぼくが物語を構築するのに慣れていないというか、その手の能力に乏しいというのも大きな理由の1つだ。でも、それ以上にスマホの存在が、物語を壊す。
 カメラ付きの今のスマホがあれば、連絡も証拠の確保も何もかも実現できてしまう。古典的な密室も死体も怪奇現象もスマホの前では、無力だ。
 この問題は、ミステリーだけに止まる問題では無いだろう。
 きっと多くの古典作品を現代風にリメイクしようとするとスマホの存在がそれをジャマすることだろう。
 連絡を取ることができないことから生じる想いのすれちがい。目の前の情景を誰にも伝えられないもどかしさ。手紙が届くまでの時間が作り出す葛藤。歴史的に多くの人々を悩ませてきた感情も便利なスマホがあれば、たちどころに消える。作品によっては、テーマすら消え失せることになるだろう。