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肉まんより

by 唐草 [2018/02/20]



 冬のおやつと言えば肉まんだ。地域によって豚まんと呼んだり、多様性を考慮して中華まんと呼んだりしているが、どれも実体は同じだ。白いふわふわの皮で豚肉を中心とした具を包んでふかした食べ物だ。
 飲茶と呼んだ方がふさわしい場所で肉まん的なものをオーダーすると、皮の中にはちゃんとした肉団子が入っている。これだってもちろん美味しいのだが、個人的には肉まんと呼びたくない。肉まんって言うのは、もっとジャンクな感じがしたほうがいい。肉のかさ増のためによく分からない野菜的なものが入っているぐらいの雑さがあった方が好きだ。例えるならば時々ファストフードのハンバーガーが食べたくなるのと同じで、ジャンクさそのものを味わうことに庶民的な肉まんの良さがあると思う。
 肉まんに対して熱く語ったものの、正直に言うとここのところ肉まんへの情熱が薄れてきている。
 その代わりに、あんまんが大好きになってきた。
 今のぼくは目の前に肉まんとあんまんを出されたら、85%ぐらいの確率であんまんを選ぶことだろう。自分でも驚きの変化である。
 小さい頃は、あんまんという存在自体が許せなかった。肉まんだと思ってかぶりついたのに、中から熱々の餡が出てきたときのやるせなさは今でも鮮明に覚えている。肉を求めていたぼくの脳は、甘い餡の味を理解することが出来なかった。そして、そのあと口の中を襲ってくる熱さ。なぜ餡はあんなにも熱く感じられるのだろうか。
 こんな失敗があって以来、あんまんの存在を憎んでいたし、正直こんなものをありがたがって食べる人間の気がしれないとさえ思っていた。
 でも、それはもう過去の話。今では、自ら選んであんまんを買っている。
 ただ、世間的にはあんまんは永遠の2番手。肉まんに勝つことは出来ないようだ。ぼくはあんまんだけを食べたいのに、近所のスーパーにはあんまんだけのパックは売られていない。肉まんだけのパックはあるというのに。だからしかたなく肉まん&あんまんセットを買っている。
 あぁ、いつの日かあんまんだけのパックが発売にならないだろうか。世界が餡で満たされることを切に願う。