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今日は何曜日?

by 唐草 [2018/02/27]



 授業がないこの季節は、本当に社会性が失われていく。ぼくのように元来から出不精な人間は、油断しているとまったく外に出なくなってしまう。1週間の内でもっとも遠くに出かけたのが、歩いて5分もかからないスーパーだったなんてことが起きかねない。そうならないようにわざわざ散歩に出たりしているわけだ。
 社会性を失わないように気をつけていたとしても、毎日が日曜日のようなものである。外出の有無は把握できたとしても、今日が何月何日の何曜日かという認識が徐々に希薄になっていく。
 ぼくは、今日が水曜日だと朝から信じていた。ニュース番組の放送時間とアナウンサーから平日だと言うことは確信できていたが、具体的な曜日を把握することには失敗していたようだ。午後7時のニュースが終わった後の番組が、ぼくの想像とは違ったものだった。
 その驚きは、背もたれがあると信じて座った椅子に背もたれがなかったときのように自分の信じていた支えが消えてしまったかのような焦りと衝撃があった。
 もう完全に社会性を失っているではないか。「そうか、今日は水曜日じゃなくて火曜日なのか」。小さなタイムスリップに失敗したかのようなことを口にしてしまった。
 だが、失敗はこれで終わらなかった。
 毎週火曜日は、あるドラマを見ている。火曜日だという認識をどうにか取り戻したので「午後11時からいつものドラマを見なくては!」と謎の使命感が芽生えた。これを見て自分の中のズレをリセットするんだ。
 と思っていたものの、気が付いたら24時になっていた。完全にドラマのことを失念していた。一瞬だけ火曜日であることを認識しただけで、すぐにぼくの体内カレンダーは堕落モードに戻ってしまったようだ。あれだけ楽しみにしていた番組のことを完全に忘れてしまっていた。ここまで見事に忘れてしまうと、脳に何か問題を抱え始めているのではないかと不安にさえなってくる。ただ堕落しているだけだと思うのだが、堕落が既に体の奥深くを蝕んでいるのではないだろうか?
 不安が体の中を走り抜けていく。今度こそ本当の水曜日である、これだけは間違いのない事実であるはずだ。