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偽パスワードジェネレーター

by 唐草 [2023/06/14]



 1年ぐらい前にサーバ管理者の恐怖体験を書いた。毎日使っているパスワード(正確にはSSH鍵のパスワード)をど忘れしてしまった。それは管理者がログインできない危機的状況を意味する。車の中に鍵を閉じ込めてしまうよりまずい状況だ。
 連続して間違えるとアクセスが遮断されたりアカウントが無効になるような映画でありがちな設定はない。心が折れるまで何度でも入力を試せる。しかし、試行回数が問題を解決してくれる訳ではない。
 その時は、30分ぐらい頭を抱えていた。幸いなことにふとパスワードを思い出し、事態は収拾した。
 それから約1年経った先日、まったく同じ状況に陥ってしまった。また同じサーバのパスワードをど忘れしてしまった。
 「ど忘れ」と書いているが、これは正確ではない。正確には、誤ったパスワードしか思い出せないという状況。本当のパスワードは”SVG123”なのに、頭に浮かぶパスワードは音の似た”FBZ123”という感じ。前回も同じ勘違いをした。
 自分の記憶のほんの一部が、別の何かで上書きされているような状況。自分ではこれっぽっちも間違っていると思えない。合っている確信がある。ある朝目覚めたら自分だけを残して世界の理が、変わっていたかのようである。
 この奇妙な勘違いが、2度も起こるとは驚きが隠せない。他にも多くのパスワードを使っているが、同様の勘違いは起きていない。このパスワードだけの現象なのだ。
 あまりにも限定的。ぼくの頭が壊れかけているのではなく、パスワードそのものに勘違いを引き起こす悪条件が隠れているのではないだろうか?自分の非を認めたくないぼくは、ランダムな文字列に疑いの目を向けた。
 すると間違えたパスワードにある文字列が含まれていた。それは、使用頻度の低いコマンドと同じ文字列。正しいパスワードだと似た音の別文字になっている。それは”S”と”F”みたいな関係だ。
 どうやら、そのコマンドを打った後にパスワードを入力すると、音のイメージに引っ張られて勘違いをしてしまうようだ。つまり、ぼくはパスワードを音で記憶しているということなのか?