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遠い旗

by 唐草 [2023/06/16]



 遊んでいるゲームで虹色の縞模様を筆頭に様々な色の組み合わせの旗を模したプレーヤーアイコンが配布された。赤、オレンジ、黄、緑、青、紫の6色の横縞の旗は知っている。性的マイノリティーのシンボルとして使われているレインボーフラッグだ。今月配信されたのは、6月が性的マイノリティーの認知強化月間のプライド月間だからだろう。
 それにしても倫理観ゼロの荒廃した未来が舞台のゲームで、この手の旗が配信されることには少なからず驚きがある。放射能まみれの焦土で殺し合いをするゲームでは、認知促進には繋がらないと思う。曲解レベルで好意的に解釈しても「男性キャラでも女性キャラでも装備も能力も同じなので性差なんて存在しない」というのが精一杯。
 ゲーム内容に関わらず、理解促進の機会を提示することが開発元のあるアメリカ社会に求められる振る舞いなのだろう。現に、ぼくがこうして話題にしているので完全に無駄とも言い切れない。
 しかし、ネットコミュニティーの一部には「ゲームに現代社会の話題を持ち込まないで欲しい」という声もある。LGBTの話題に興味がなかったり嫌っている層が、ゲームの世界観が崩れるのをいやがっているのだろう。ひょっとしたら、LGBT認知活動に積極的な層が「こんな倫理観ゼロの世界で認知向上を目指しても、ろくな結果には繋がらないから辞めてくれ」と危惧している可能性も否定できない。
 配布されたアイコンは8種類ぐらいあった。目にする機会の多いレインボーフラッグは、話題に疎いぼくでも知っていた。しかし、それ以外の旗が何を意味するのか知らなかったし、見るのも初めてだった。
 レインボーフラッグとは配色の異なる黄色や水色ベースの縞模様の旗。縞模様ではなく丸いリング模様の旗。縞模様が斜めに入っている旗。まるで色彩配置サンプルのように様々な旗が並んでいた。
 きっと旗ごとに異なる意味があるのだろう。でも、色や配置から意味を類推することはできない。多様性を理解する活動が活発化していることは分かるが、大多数の無関心な(ぼくのような)人間を全然巻き込めていない。そんな距離感を如実に感じた旗の配布だった。