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制汗シートの生還

by 唐草 [2023/06/20]



 動くとじっとりと汗をかくような陽気のせいで、家に帰ってきたぼくの肌はベタベタだ。
 そんなときに活躍するのが、制汗シート。何が入っているのか知らないが、さっと一拭きするだけでベタついた肌はサラサラになるし、まやかしの涼しさを届けてくれる。
 今年も制汗シートが活躍する季節がやってきた。ぼくの机の横には制汗シートのパックが置いてある。今シーズン初めてそのパックに手を伸ばした。
 パックは見るからにくたびれている。潰れた様子からも中身がほとんど入っていないことは一目瞭然。それもそのハズ、このパックは昨年の残りなのだ。
 しっかり密閉していれば半年放置しても平気だと思いたいが、それが虚しい希望であることはこれまでの経験から学んでいる。
 今年初めて手に取った制汗シートは、案の定カラッカラだった。
 またしても使わずじまいでオフシーズンを迎えた制汗シートをダメにしてしまった。残り3枚ぐらいでも悔しい。
 ぼくの手に握られた乾燥したシートは、捨てるしかないのだろうか?蘇らせることはできないのだろうか?
 制汗シートは、乾いた後もスーッとした冷たさと制汗作用が残っている。つまり、湿り気は主成分を効率よく塗布するための溶質でしかない。乾いたシートにも清涼成分と制汗成分が残っている可能性は高い。
 というわけで、乾いたシートに霧吹きで潤いを与えてみた。そして顔を拭いた。
 シートは湿ったけれど、伸びが悪くピンポイントでスースーする。また、伸びが悪いせいか、半年経過のせいか分からないが、ヒリヒリ感もある。それは顔に冷たいブチができたようで爽快感に欠ける。ハッキリ言って気持ち悪い。
 シート復活は失敗のようだ。
 ヒリヒリするので顔を洗おう。濡れた手を顔に当てて驚いた。スースーする部分を洗ったら、手に洗剤がついているかのようにヌルヌルした。どうやら霧吹きの水分で溶けた成分が、高濃度のまま一箇所にこびりついていたようだ。ヒリヒリしたのは濃すぎたせいだろう。
 顔を洗い終えると成分が適度に溶け、顔全体が心地よい清涼感に包まれた。 
 この結果は、復活成功と呼んでいいのだろうか?