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秒速検眼の結果

by 唐草 [2024/03/06]



 新しいメガネは、乱視に起因する左右の目の視力差をちょうどいい具合に埋めてくれている。一日中PCに張り付いていたけれど目の疲れをまったく感じなかった。というか、ここ最近長時間作業が無理だったのは、メガネが合わなくなっていたことが元凶だったようだ。新しく作って本当に良かった。
 とは言え、実際に掛けていつもと同じ作業をしてみるまで、本当に自分の目にあったメガネを作れたか不安だったのも事実。そんな不安を払拭できずにいたのには理由がある。
 主な原因は検眼の受け方。機械音声に従ってマシンを自分で操作する検眼を受けたときに、せっかちなぼくはゆっくり喋る音声案内にイライラしていた。イライラの募る検眼の途中で音声を最後まで聞き終えずに操作しても問題ないという仕様に気づけた。それ以降、ぼくの検眼は反射神経測定みたいになっていた。最後まで音声を流せない検眼マシンは「こち」「では」「さゆ」とか意味不明な声を挙げ続けていた。
 機械にどれだけ早く反応できるかが楽しくなってしまったので、本来の目的である検眼がおろそかになってしまったのではないかと検査を終えてから不安になっていた。しかも、最後の店員と対面での微調整の際に、以前の測定より「近視が改善している」とか「左目の乱視が凄まじい」と物珍しそうに告げられた時は、検眼の失敗を確信していた。
 新しいメガネをかけてみると世界は違って見えた。これはメガネを新調したときに感じるいつもの感覚なのだが、今回は少し違った感覚だった。
 輪郭がくっきり見えるようになったのは間違いないのだが、視界の端のほうが歪んでいるように見えて仕方がなかった。近視への対応はできたが、乱視は裸眼より悪化してしまったようにさえ思えた。
 だが、丸一日PCに張り付いて確信した。冒頭に書いたようにメガネはベストな調整ができている。作業中に前のめりにならないのもその証拠。
 それなのに歪んで見えるのは、これまでずっと合わないメガネで歪んだ世界を見ていたせいで、見慣れぬ歪んでいない世界が歪んでいるように見えているだけ。
 今のぼくは、まるで自分は正気だと喚く狂人のよう。