カレンダー

2016/11
  
   
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

昭和の面影を通り抜けて

by 唐草 [2016/11/12]



 今日は、季節外れな感じで暖かい。初冬の暖かい日なので、今日のような日のことを「小春日和」と呼ぶのだろう。季節限定で意外と使いにくい小春日和。初めてちゃんと使えたような気さえする。
 こんな気持ちの良い日に家に篭もっているのはもったいない。インドアなぼくでさえそう思う。コントローラーを置いて外へ出ることにした。
 そうだ、久しぶりに多摩川へ行こう。
 この春に乗っていた20年来の愛車(自転車)が壊れて以来、あまり遠乗りをしていなかった。リフォームとか色々重なって家に篭もる日々が続いていた。気がつけば、夏は過ぎ去り、秋も終わろうとしている。なんだかずいぶんと長い間、遠乗りしていなかったようだ。
 いつものコースで多摩川を目指す。以前と自転車が異なるので、どうも調子が出ない。中古車なのでステムの高さが今までと違いすぎるのが気持ち悪い。
 我が家から多摩川へ向かう際は、東京競馬場の脇を通ることになる。
 馬券には縁が無いのでタダの通過点に過ぎないのだが、競馬場付近の独特な雰囲気はキライじゃない。明らかに昭和の世界が残っている。レトロブームで作られた21世紀の昭和なんていう薄っぺらいものじゃない。
 もう何十年も馬券で儲けたオッサンたちに安酒を提供し続けている飲み屋が数軒残っている。変わる必要がないので昭和のまま。本物の昭和がそこにある。その前を通のが密かな楽しみ。ぼくが、そこで飲むことは絶対に無いだろう。でも、お金をかけた映画のセットの中を通っているような非現実な気分に浸ることができる。
 そんな不思議な場所を通り抜けて多摩川へと至る。
 川縁に腰を下ろして水の流れる音に耳をすます。ということをしたいので、あえて水音の大きな遊漁道付近を狙って腰を下ろす。人工物が作るせせらぎだが、その音は堂々として大河の趣は十分にある。非日常を楽しむには、ここが一番だ。