by 唐草 [2014/05/12]
今日は、歯医者へ行った。実に一か月ぶりの治療だ。
予約を入れているので何十分も待たされるようなことはない。それでも、定刻通りに治療が始まるわけでもないし、ぼくだって指定時間ジャストに病院に入るような綱渡り的なことはしない。そんな訳で、10分程度待合室で時間をつぶすことになる。
待合室にはネオンテトラが飼われている大きな水槽がある。いつもこの水槽を眺めて順番を待っている。今日もそのつもりで水槽の横の席に腰かけた。
ところが、今日はどういう訳か水槽の下に置かれた本の山に目を奪われた。そこには、子供向けの本がたくさん置いてある。男の子向けにウルトラマンの本があったし、女の子向けにプリキュアの本もあった。こういう旬な本も置いてあるが、いわゆる定番児童書というような絵本も数冊置いてあった。
物事の仕組みを解説するような教育的な絵本も何冊かあった。
それらの本の中に、我が目を疑うようなタイトルの本があった。
もし、ぼくが見間違えていないのであればこう書いてあった。
『タラが、だいはっせいしたら』
なんかものすごくニッチな現象を解説した絵本ではないだろうか?魚の大発生という珍しい現象を取り上げているだけでも注目に値するというのに、しかもタラ限定。いったいどんな本なのだろうか?
待合室には誰もいない。目つきの鋭い受付のおばさんもこちらを見ていない。ぼくが興味深そうに児童書を読んでいても誰にも気が付かれることはない状況だ。しかし、プリキュアの本の隣に置かれた児童書をしげしげと見つめていたら絶対に誤解されそうだ。
どうする?体面を保つか?タラの真実を確認するべきか?
自分の中で激しい争いがあった。
決着は、お約束の展開であっけなく幕を閉じた。ぼくが手を伸ばす前に診察の時間が来てしまったのだ。
次回こそは、タラの真実を確認してみよう。次の診療が待ち遠しい。