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就活生にひとことを

by 唐草 [2014/05/15]



 教員サイドに立つようになったけれど、ぼくは自分が学生だった頃と大差ない動きをしている。
 授業が終わったら、さっさとひとりで帰っている。もう、学校にダラダラと残ることが罪悪であるかのようにさっさと帰る。昔からぼくはずっとそうだった。小学校でも、中学校でも、高校でも、そして大学でも、課外活動なんかとは無縁の帰宅部の絶対エースだった。
 そんなぼくだから大人になって、仕事で大学へと赴くようになっても基本的な行動は何も変わらない。消えるように帰る。ただそれだけ。
 ところが、今日はすぐに帰れなかった。打ち合わせがあったので、授業の後に大学に残らなくてはならなかった。しかも、打ち合わせの場所が教授の都合でゼミ室となってしまった。もちろんゼミは開かれている。
 中堅私大のゼミは、研究だけを行う場所ではない。半分ぐらいは就職の面倒を見る場所になっている。実に残念なことだが、それが事実だ。それに関しては、前にちょっとだけ書いた気がする。
 今日もゼミでは研究テーマ発表が行われた後に就職の進捗具合を確認していた。内定をもらえた学生はいるのか?面接までこぎ着けた会社はどれぐらいあるのか?そんなことを聞いていた。研究畑にずっと席を置いている先生たちが、就職の世話をするのはどうなのだろうか?そして、これが大学という機関の役割なのだろうか?いろいろな疑問が頭の中を巡っていた。
 すると突然、話を振られた。
 このぼくに就活生へのアドバイスを行えと言うのか!?先生は、ぼくの経歴を知った上で話を振っているんですか?えっ、雇用する側としての意見が欲しい?確かに「取締役」の肩書きがついていた時期もあったけれど。
 とは言え、教員側の人間として「えっ、あっ、話無いです」と言うわけにもいかない。一応、それっぽいことをしゃべる責務がある。
 「みなさんと違って、ぼくは就活という活動を一切したことが無い人間です」
 という衝撃的な断りを入れた上で一言二言しゃべってきた次第。「謙虚になりすぎるな。自分を120%ぐらいに見せる方法を考えろ」と抽象的なことを言ったような気がする。