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雪上エクストリーム

by 唐草 [2015/03/29]



 あまりテレビを見るタイプではないのだが、放送されているとついつい見てしまう番組がある。
 アドベンチャーレースと呼ばれるような、山やら砂漠やらおよそ普通の人が踏み入れることがないであろう地域を人力だけで縦走するタイプのエクストリームなレースの番組だ。何日間にもわたって何百キロも走り回る競技なので生中継なんてものは無い。あったとしてもたぶんおもしろくない。テレビで放送されるのは、ダイジェスト版というか、選手に迫ったドキュメンタリーのような作りの番組が多い。
 今日もそんなタイプの番組がBSで放送されていた。
 そのレースは、今までにいくつかのアドベンチャーレースの番組を見てきたが、その中でも群を抜いてエクストリームなレースだった。
 凍ったユーコン川の上を700kmに渡って走破するという厳冬期のカナダで開催されるレースだ。気温はマイナス30℃を軽く下回る。14日のタイム制限があるので、毎日走り続ける必要がある。トップ勢は、昼夜を問わず睡眠時間を削って雪と氷の世界を走り続けていた。暖かくなると雪が溶けてしまうので、雪が溶けないマイナス20℃以下の方が楽だという理解に苦しむ状況がテレビの中で繰り広げられていた。
 まっとうな神経をしていたらそんな寒い中を走ろうなんて考えもしないだろう。ましてや、冬の夜に走るなんて好きこのんで死にに行くようだ。
 完走率も低く、凍傷になってしまい身動きが取れなくなったのでリタイヤという生死を賭けた戦いが繰り広げられていた。参加する方も参加する方だが、こんな危険なレースを開催する主催者側の神経も疑いたくなる。
 競技の内容も場所もエクストリームなのだが、ルールもエクストリームだった。移動方法別にいくつかの部門に分かれているのだが、ラン、スキーに加え、マウンテンバイクという部門があった。
 雪上を自転車で走るなんて…。
 雪上路面用の自転車用スパイクタイヤが存在していることは知っていた。だが、実物どころか写真すら見たことが無かった。映像を通して見た雪上仕様のマウンテンバイクは、異様な姿をしていた。とにかくタイヤが太い。普通のマウンテンバイクのタイヤも太いが、その比ではない。一般的なマウンテンバイクの4倍ぐらい太いタイヤだ。モトクロスバイクのタイヤより太い。たぶん軽自動車ぐらいの幅があるのでは無かろうか?
 自転車好きは他の点も見逃さなかった。ギア比が普通のマウンテンバイクとは全然違う。フロントのギアが、ビックリするほど小さかった。とにかく回転力を稼ぐために信じられないほど軽いギア比に設定されていた。
 タイヤとギア比を見るだけでも、このレースがどれほど日常からかけ離れたものなのかがよく分かった。
 こういう現実離れした物をや光景を見たいから、ついついアドベンチャーレースを見てしまうんだろうなぁ。