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脳内バトルは劣勢

by 唐草 [2024/04/12]



 ゲームにおける効果音の影響力は絶大だ。聞いているつもりがなくともしっかり耳に届いている。それらの音は、まるで縁の下の力持ちのようにひっそりとだが力強くゲームを盛り上げている。
 「音を消してプレーしても問題ないから効果音なんて無意味」という意見もあるかもしれない。確かに1つもなくてもゲームで遊べる。でも、一部の効果音だけ有効という通常プレーではありえない状態にすると効果音のありがたさが身にしみるはず。音のしない行動だけが、とても味気なく、そして実感の伴わないものになるのだ。
 今は様々な動作に効果音を付けている。まだ音のしない行動がいくつかあるのでゲームはとても不安定に感じられる。一切音のないときのほうがゲームの完成度が高かったと錯覚するほどに奇妙な状態なのだ。これは調理中の料理を中途半端なタイミングで味見するようなものなのだろう。
 ぼくは効果音を作れない。録音装置も波形編集ソフトも無いからだ。だから、効果音はすべて素材集に頼っている。ゲーム向けの効果音集で1,000を超えるデータが入っている。だが、多いことが仇となっている部分もある。どんな音が入っているかまったく把握していないので、求める音を見つけるためには片っ端から聞いていくしか無いからだ。
 ゲーム向けなので攻撃音が数百個含まれている。擬音語をカタカナで書いても違いがわからないような似た音を聞きまくって、自分が求めるものを選ぶのは骨が折れる作業だ。自分の思い浮かべる音も漠然としているし、聞いているうちに自分のイメージがズレていく。
 1つの音を選ぶだけなのに100個近い音を確認することも少なくない。まだ半分も音は決まっていないが、想像の3倍ぐらい時間がかかっているし、5倍ぐらい疲労を感じている。敵や武器ごとに攻撃音を変えようと考えたのは失敗だったかもしれないと後悔し始めている。自分の欲しい音が「ドン」なのか「ガン」なのか分からなくなってきた。
 それにしても、こんなに頭の中で攻撃音を想像したのは、おもちゃ片手に「デュクシ!」とか言って仮想の戦いを繰り広げていた小学生の頃以来な気がする。