カレンダー

2012/03
    
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

アメリカンジョーク

by 唐草 [2012/03/06]



 笑いのツボは本当に人それぞれだ。同じものを見て笑っていたとしても、おもしろいと感じたツボは違うかもしれない。
 ぼくのツボにはまった作品を紹介しよう。
 笑っただけでなく、タブーさえも恐れずにネタを作ることにショックを受けたという意味で「空飛ぶモンティーパイソン」の初期TV作品の印象は圧倒的。笑い死にするほど面白いジョークをドイツ語に翻訳して第2次大戦の戦線でドイツ兵を倒し兵器として朗読するコントはかなり好きな作品の1つだ。とは言え、英語の韻を踏んだセリフを理解できていないので、イギリス人が感じているおもしろさの半分ぐらいしか理解できていないかもしれない。
 そう考えるとサイレントコメディーは偉大だ。文化に依存するところもあるが、世界共通の笑いがとれる。Mr.ビーンでおなじみのローワン・アトキンソンが若き日に演じた"Invisible Drum kit"は印象的だった。
 英国のコメディーが2つならんだが、正直言って日本の漫才よりはイギリスのコントの方が好きだ。根底にいじわるさが見え隠れしているのがぼく好みなのかもしれない。
 一方、ほとんど面白いと思えないのが、いわゆるアメリカンジョークの類。アメリカのコメディーはストレートで分かりやすいおもしろさがあると思う。でも、アメリカンジョークで笑った記憶は少ない。
 とは言え、「おもしろい」ってなんだろう?とぼくが考えるようになったきっかけはアメリカンジョークにある。
 小学5年生の時のこと。通っていた塾に高校受験の部では英語を教えているが中学受験を目指す小学生相手には国語を教えている先生がいた。なんのきっかけかジョークの話になり「君たちは面白いとは思わないかもしれないが」と断った上で1つのアメリカンジョークを披露した。結果は、先生の予想通り大すべり。騒がしかった教室が静かになったほどだ。
 先生の語ったジョークはこんなものだった。
 「あのレストランはうまいのかい?」
 「あぁ、ケチャップが減ってないから大丈夫だ!」
 当時のぼくはこれのどこがおもしろいか分からず、授業が耳に入らないほど悩みこんでしまった。一晩かけてどうにか理解してぼくはショックを受けた。男子小学生が知っている笑いは、「布団が吹っ飛んだ」レベルのダジャレと下ネタだけ。その基準からすれば、このアメリカンジョークは相当レベルが高い。こういう笑いもあるのかと!新しい世界を垣間見た気さえした。
 以来、ぼくにとって笑いとは「ひねり」と同義になった。笑いとは、意外性を持って何かを語ることだと考えている。今読んでも全然おもしろくないケチャップのジョークだが、ぼくにとっては重要なジョークだったことは否定できない。