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自転車に乗っているときだった

by 唐草 [2012/03/14]



 千葉県東方沖での地震発生を告げる緊急地震速報が発せられた午後9時ごろ、ぼくは自転車にまたがり家路を急いでいた。その時のぼくの反応は、実に鈍かった。
 肩掛け鞄の中にしまった携帯電話は、けたたましく警報を鳴らしていたのだろう。車が行き交う車道の端を走っていたので周囲にはエンジン音から風切り音まで様々な音が満ちている。そんなノイズに溢れた環境では、静かな場所で聞くと心の中の不安を直接ノックするかような不穏な警報音も弱々しく感じられる。
 なんか聞いたことのある音がしている。なんだっけこの音?これが警報の音を耳にした瞬間のぼくの感想。もし周囲に歩行者がいたら、その人が出した音だと思い込んでスルーしていたかもしれない。幸か不幸か、周囲には歩行者がいなかった。その状況から、音が鞄の中から聞こえてきていることにようやく気が付いた。自転車をこぎながら鞄に手をあてると、携帯が一心に震えていた。
 なんで、マナーモードの携帯が鳴っているんだ?
 この疑問が頭に浮かんでからようやく状況を理解した。これは緊急地震速報だと。理解するまでにいったいどれぐらいの時間を要したのだろう。50mぐらい走っていたような気もする。
 さて、困ったぞ。来るべき揺れに対してどう対処しよう?いまだかつて一度も自転車に乗っているときの対処法を聞いたことがない。真剣に対応を考える。
 剥き身で移動しているので頭を守るべきだろう。そのためには自転車を止めなければならない。でも、ここは車道。急ブレーキで止まるにはリスクの高い場所だ。歩道に上がってから止まるべきだろう。だが、歩道は店舗の看板などの落下物やブロック塀の倒壊など別のリスクがある。となると、車道上で安全に停止できる場所まで移動した方がよいのかもしれない。でも、そんな場所ってどこ?いったいどうするのがベストなんだ?
 結局、やや速度を落としたものの決断を下せぬまま走り続けて、気が付けば家までたどり着いていた。今日得た教訓は1つだけ。自転車に乗っていたら震度3程度の揺れは分からないということ。あまり次回に活かせそうの無い教訓だ。