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後ろは任せろ!

by 唐草 [2012/03/08]



 映画なんかの戦闘シーンでは、お約束のパターンがいくつかある。予想通りになるんだと分かっていても見入ってしまうのは悔しいが、お約束パターンの魅力にはあらがえないものがある。
 もうダメだと思ったその時にたどり着く援軍なんかが良い例だろう。冷静に考えると物陰に隠れてタイミングをうかがっていたようにしか見えない出現だが、タイミングの不自然さを問いただすよりも素直に援軍の到着を喜んでしまう。
 他にも印象的なパターンはある。「後ろは俺に任せろ!」とか「背中はおまえに預ける」的なセリフは何度も耳にしたことがあるのではないだろうか。信頼し合う2人が大勢と戦うときの鉄板演出だ。一度ぐらい言ってみたいと憧れる方もいるかもしれないが、白兵戦より狙撃を好むぼくとしては敵に囲まれる状況に陥ること自体勘弁願いたいと思っている。たから、言いたくもないし、言われたくもないセリフだ。
 現実の社会で「後ろは俺に任せろ!」とか言うことなんてあるのだろうか?そもそも、2人が背中合わせで大勢を相手にするという状況が思いつかない。
 いや、ちょっと待て。ひょっとしたらものすごく身近なところに「背中合わせの2人が大勢を相手にしている」場所がないだろうか?誰もが何度も大勢側を経験しているはず。今日はそのことに気がついてしまった。
 それは、電車の運転手と車掌だ。
 その他大勢が背中合わせの2人の間にいる状況だが、確かに運転手は背中を車掌に預けていると考えられる。そう思って運転手と車掌のペアを改めて見てみると、ちょっとかっこよく見えてくる。ダイヤグラムに縛られた定刻通りの列車運行も「俺がこのカーブを100km/hで曲がれるのは、おまえがいるからさ、相棒!」なんて感じのハードボイルドな世界に見えてくる。
 「おまえの背中は預かったぜ!」って言う車掌ってちょっとかっこいいな。そんな風に思えてきたが、ぼくの想像は車内放送を聞いて一瞬で崩壊した。いくらハードボイルドなセリフでも、変声機が仕込まれているとしか思えないこもったダミ声の車内放送で言われたら台無しだ。