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サゲも知らないのに

by 唐草 [2012/03/09]



 ハッキリと記憶に残る夢を見た。恐怖に目を覚ますようなタイプの夢ではなかったが、夢の中のぼくは困り果てていた。だから、悪夢と言ってもいいのかもしれない。
 夢の中のぼくは、なぜか和装だ。くすんだ萌黄色とでも言うような、地味な着物を着ている。
 無理難題を突きつけられてぼくは心底困っていた。経緯も分からぬまま、落語の『寿限無』を演じてくれと頼まれているのだ。困った。実に困った。寿限無を演じるには3つの無理がある。まず、寿限無のフルネームを覚えていない。次に、サゲ(オチ)を知らない。そして一番の問題なのだが、寿限無を聞いたことがない。
 そんな状況でできる訳がない。というか、落語なんて数度聞いたことがあるだけで、一度だって演じたことはない。なぜそんぼくを高座に上げようとしているのかまるで理解が出来ない。
 現実でこんな状況になったら、様々な否定的な言葉を並べて是が非でも断ってしまうだろう。ところがだ、夢の中のぼくは妥協案を提示していた。
 寿限無は噺をしらないので無理だ。でも、知っている噺なら演じてもいい。全体の流れとサゲを覚えている噺を思い出すから待っててくれと提案をする。起きているぼくだったら絶対こんなことはしないが、心の奥では密かに古典落語をやってみたいと思っているのだろうか?改めて考えて見ると、噺ができる自分というものに悪い感じはしない。なにか伝統芸能を学ぶのであれば、茶道や華道よりは落語を学んでみたい気がする。
 それはさておき、夢の中のぼくは必死に聞いたことのある噺を思い出だそうと頭を捻る。そして、1つの噺を思い出した。これなら一応の流れとサゲが頭に入っているぞ。よしこれで行こう!と思ったところで夢は終わった。どうせなら高座に上がるところまで夢見たかったのに。
 ぼくが思い出したのは『ねずみ』だった。詳しい解説はWikipediaに譲るが、ネコオチがお気に入りなのかもしれない。演目としての難易度はよく分からないが、この噺が演じられたらちょっと楽しそうだと思う。