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寒さに負ける

by 唐草 [2012/07/21]

　寒いと思ったときには既に手遅れだった。昨晩の北風が冷たかったとは言え、まさかここまで冷え込むとは。半袖パジャマにタオルケット一枚という熱帯夜仕様でベッドに横たわるぼくにできることは何も無かった。
　朝目が覚めたら、喉が痛くて、頭が重くて、鼻が止まらなくて、だるかった。
　どう見ても風の初期症状。これで関節が痛かったら完璧だったかもしれない。でも上記の4要素だけでは、体は弱いが大病にはならずに済んでいる超低空飛行なぼくを風邪と断定することはできない。もっと慎重な検証が必要だ。
　喉が痛いのは、鼻炎がひどくて口を開けていた時の日常。フリーズドライの食品を元に戻すような感覚で、水分補給をすれば治るだろう。頭が重いのは、前日PC画面を見つめすぎたときの日常。これは有効な解消方法が見つかっていないが、まあいつものことだし気にしない。鼻が止まらないのは、体が冷えたときの日常。コーヒーでも飲んで暖まれば治るだろう。体がだるいのは、前日椅子に座りっぱなしで体を動かさなかったときの日常。自転車にでも乗って強引に血行を良くすれば治るだろう。
　そんな風に楽観的に構えていたのだが、事態は全然好転しなかった。
　浴びるように水を飲んだのに、喉は痛いままだ。頭痛にはなんの変化もない。温かいスープを飲んだのに、ティッシュの消費量は減らない。自転車に跨るのを躊躇してしまうほどのだるさが続いている。
　さすがに、ちょっと体調が悪いのかもしれない。
　いや、どう考えても風邪だ。夏仕様の涼しげな装いがたたって寒さに負けて風邪をひいてしまったに違いない。数日前に最高気温35℃だったのに、次の日の最高気温が20℃未満って砂漠並みに過酷な温度差だ。ひ弱なぼくには耐えきれない。

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