by 唐草 [2012/07/22]
日曜日の楽しみといえば、ここでもちょくちょく話題にしている休日のみ営業する究極のたこ焼きに限る。一度たこ焼き本場大阪の人間に食べさせて、感想を聞かせてもらいたい。きっと、彼らは二度と故郷へ戻ることはなくなってしまうだろう。そう思う一方で、このお店を誰にも教えたくないという独占欲に似た感覚も持っている。
今日も、遠足のおやつを買いに行く小学生のような顔で500円玉を握り締めたこ焼屋へと足を運んだ。半熟の大ダコ焼きにたっぷりと塗られた辛子マヨネーズと濃厚なソースが織りなすこれぞ庶民派というべき気取らない味。そこへ大胆にふりかけられた厚削りの鰹節と青のりの香りが、いっそう食欲を駆り立てる。
記憶の中のたこ焼きにうっとりしながら、今日の一口に思いを馳せる。
ところが、なんということだ。プレハブ小屋の店舗のシャッターは、無情にも閉まったままであった。たこ焼屋は休みだ。いつ営業しているか分からない不確定さがあるこそ出会えたときの喜びは大きい。それは、よく分かっている。
でも、なんで今日が休みなの?
ショックに打ちひしがれるが、食欲を失うほどの衝撃ではない。ぼくのお腹は、エネルギー補給を要求したままだ。
しかたがないので、近くのスーパーのお弁当コーナーに寄った。目に入ったのは、イカ入り海鮮お好み焼きだった。小麦とソースのマヨネーズのハーモニー。これならたこ焼を失ったぼくを癒してくれるかもしれない。
お好み焼きを一口食べて思う。確かに濃厚なソースとマヨネーズが絡み合う大雑把な味は、たこ焼きのそれとよく似ている。だが、キャベツのシャキシャキした食感は求めていないし、ギュウギュウと鉄板に押し付けられたお好み焼きには軽やかさが無い。素材こそ似ている粉モンどうしだけど、やっぱり全然違うよ…。